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あなたの時給が最低賃金を下回っていたら?労働法の専門家が対応策をアドバイス

バイト

2018/07/27

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あなたがバイトを探すとき、どんなことをチェックしますか?仕事内容や勤務地、勤務時間など色々ありますが、なかでも「時給」は重要なポイントですよね。バイトを含めた働く人の生活を保障するため、国は賃金の最低額である「最低賃金」を定めています。最低賃金は毎年変わるため、知らない間に自分の時給がそれを下回っていることもあるかもしれません。そんな時はどうしたらいいのか、労働法の専門家のアドバイスとともに解説していきます。

■最低賃金制度とは?

雇う側はできるだけ多くの利益を得るため、労働者に支払う賃金を切り詰めたいと考えています。しかし、それが行き過ぎると、働く人が満足に生活できなくなるほど、賃金が下がってしまうことになりかねません。また、一部の会社が不当に安い賃金しか支払わなくなると、会社間の公正な競争を妨げることにもなります。

こうした事態を防ぐために、国は働く人の賃金の最低基準を1959年に導入しました。これが「最低賃金」制度です。

具体的な最低賃金の額は都道府県ごとに決められ、毎年10月頃に改定されます。例えば東京都の場合、近年では、毎年20円~30円ほど上がっています。最新(平成29年度版)の各都道府県の最低賃金は、以下の記事で確認できます。

平成29年度版!都道府県別の最低賃金を知って仕事選びの参考に!(マイナビバイトTIMES)
「あなたの賃金は大丈夫?」最低賃金全国一覧(厚生労働省)

■最低賃金以下で働かせることは法律違反

最低賃金法第4条は、会社が人を雇う際に、働く人に対して最低賃金以上の賃金を支払うことを義務付けています。この法律は雇用形態にかかわらず、働くすべての人に適用されるため、バイトで働いている人に対しても、会社は最低賃金以上の賃金を支払わなくてはなりません。

最低賃金法 第四条 
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。 

例えば、最低賃金で週に15時間働く人が、改定幅が+25円だったにもかかわらず改定前の条件のまま半年間働かされたとしたら、本来支払われるべき賃金よりも9000円低い額しか支払われないことになります(25円×15時間×4週間×6か月=9000円)。これは最低賃金法に照らし合わせると「違法」になります。

また、同法第40条では、会社が従業員(バイトを含む)を最低賃金以下で働かせた場合、50万円以下の罰金が課せられることが定められています。

最低賃金法 第四十条 
第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。

第4条に違反している職場の8割はパートやアルバイトの雇用形態で発生し、業種別では「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」が多くなっているといいます。こうした業種は高校生や大学生に人気のアルバイトです。一度、自分の時給が今の最低賃金を上回っているか確認してみましょう。 

■自分の時給が最低賃金を下回っていたら?身近な「労働基準監督署」へ


もし、会社側が最低賃金の改定に気づかずに、最低賃金以下で労働者を働かせていた場合はどうなるのでしょうか?労働法を専門とされている南山大学法学部の緒方桂子教授にお話を伺いました。

Q. 去年始めたバイトは時給940円でスタートしました。2017年10月の改定で最低賃金は958円に変わっています。僕の時給は940円のままなのでしょうか。

A. いえ、違います。あなたのバイト先はあなたに最低958円の時給を支払わなければいけません。最低賃金法第4条2項では、「最低賃金を下回る賃金額を定めた場合、その部分は無効とする」と定められています。そして、無効となった部分は、最初から、そのときに定められている「最低賃金額」で約束されていたと読み替えることになっています。

最低賃金法 第四条2 
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない最低賃金と同様の定をしたものとみなす。 

このことから、労働者には、最低賃金が改定された時点でその額以上の賃金を請求する権利があり、会社は労働者に対し、改定された最低賃金以上の額の賃金を支払わなくてはなりません。これは、最初から最低賃金より低い賃金で働く契約を結んだ場合でも同様です。とはいえ、黙っていれば、おそらく最低賃金額より低い額の賃金で支払われてしまうでしょう。

Q. 私の時給も最低賃金を下回っていますが、バイト先の店長に言い出しにくい場合はどうしたらよいでしょうか。

A. 労働基準監督署に相談しましょう。バイトの立場で会社に対して「不足分を払ってください」というのは、なかなか難しいかもしれません。

労働基準監督署というのは、労働関係に関する「警察署」のようなもので、会社に立ち入り検査を行う権限を持っていますし、違反行為がみつかれば是正指導を行うこともできます。匿名での相談も可能です。相談や申告をしたことが会社にわからないようにして欲しいと言えば、そのように対応もしてくれますので、会社に直接言えない、あるいは言っても聞いてもらえない場合は相談してみましょう。

全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)

首になったり、嫌がらせを受けたら怖いなと思うかもしれませんが、労働者が法律違反の事実を労働基準監督署に申告したことを理由に、会社が労働者に対して解雇や不利益な取り扱いをすることは許されません。このように、自分の要求や立場が法律によって守られていることを知っておいてください。

最低賃金法 第三十四条 
労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

■不足分は請求できる?「試用期間」を理由に最低賃金を下回るのはOK?

Q. 最低賃金以下で働いていたことに後から気がついた場合は、足りない分をバイト先に請求することはできますか?

A. 請求できます。過去2年以内の未払い分については、直接会社に請求するほか、労働局などが行う「個別労働関係紛争調整制度」を利用することで請求することができます。 

もしくは、労働基準監督署に行って違反の事実を申告すれば、労働基準監督署が会社に対して不足分を支払うように指導してくれます。

こういった制度について詳しく知りたい、あるいは、利用したいと思ったら、各都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」で相談しましょう。

総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)

Q. バイト初めの3か月間は、「試用期間」として、最低賃金を下回る時給で働いていました。これは違法ではないのですか?

A. 違法とは言えません。最低賃金法第7条で「減額特例制度」が設けられており、認められています。試用期間中の労働者に対する賃金は、最低賃金の最大20%まで減額することができます(最低賃金法施行規則第5条)。

しかし、この減額特例を受けるためには、会社は都道府県労働局長に減額の申請を行い、許可を得なければなりません。過去の統計を見ると、2016年の試用期間を理由とする減額特例の申請件数は「0件」、許可件数も「0件」で、試用期間を理由とする減額特例の許可はほとんど行われていないと考えてよいでしょう。

アルバイトを始めたときに、「最初の3ヶ月は試用期間だから」として、最低賃金を下回る賃金額で払おうとする会社もあるかもしれませんが、都道府県労働局長の許可がない場合、会社は最低賃金以上を支払わなくてはなりません。

■最低賃金をチェックした上でアルバイト探しを

アルバイトやパートなど雇用形態に関わらず「最低賃金」はすべての労働者に適用されます。最低賃金は毎年改定されるので、気づかないうちに自分が住む地域の最低賃金が変わっている可能性があります。バイトを探す前に各地域の最低賃金を調べておきましょう。

緒方桂子氏
南山大学法学部教授、専門は労働法。著書に
『労働法』(有斐閣ストゥディア、共著)など。

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