
何時間もかけて地味~な作業を繰り返すことが、とにかく大変でした…
一番印象深いとおっしゃる理由を教えてください。
当時僕は小説家としてデビューしていたんですが、そんなの関係なく、一学生として番組に出たんです。「どーも! 羽田圭介です!」って実名で(笑)。
やったことといえば、「ごましおふりかけのごまと塩を1 粒ずつわけて、どっちが多いかを数える」ですよ。しかもそれが好評だったのか、次は「7人で七味唐辛子の中身を分別する」。さらに、「『金田一少年の事件簿』全巻中、もっとも使用されている単語を調べる」、「サイコロを5人で振って、全員同時に1 の目が出るのは何回目かを検証する」とか続いて……。このサイコロのやつは一番つらかったですね。結局10時間くらいかかって。
やったことといえば、「ごましおふりかけのごまと塩を1 粒ずつわけて、どっちが多いかを数える」ですよ。しかもそれが好評だったのか、次は「7人で七味唐辛子の中身を分別する」。さらに、「『金田一少年の事件簿』全巻中、もっとも使用されている単語を調べる」、「サイコロを5人で振って、全員同時に1 の目が出るのは何回目かを検証する」とか続いて……。このサイコロのやつは一番つらかったですね。結局10時間くらいかかって。
むしろ、学生にはなかなか得難い面白い経験でした
つらいアルバイトだったから印象的なのでしょうか?
いや、面白い経験だったからです。10時間くらいかけてバイト代は8000円~1万円だったと思いますが、そのバイト代をADがピンハネしていることが発覚したり(笑)。バイトが終わるのが終電後だったときは、テレビ局から自宅までタクシー代をもらえたんですけど、当時僕が住んでいた埼玉の自宅まで2万円以上タクシー代がかかって、「これバイト代より高えじゃん」って思ったりもしましたが、それらも含めて学生には得難い経験でしたよ。
興味を持てるか、これに尽きます
羽田さんにとってアルバイトを選びのポイントは?
お金のためというよりは、「なんか面白そうだから」「経験になりそうだから」やっていた感じです。それはいまと変わらないかもしれないですね。なんかネタとして面白そうだからやるっていうのは、現在の自分とも通じています。芥川賞受賞後、本の紹介とまったく関係ないバラエティ番組の依頼が来たとき、「出演しない」という選択をしなかったのは、当時の経験があったからかもしれません。

人と会う仕事、ですかね
小説家になりたい人に向いているアルバイトはありますか。
感情の起伏をより多く持てるバイトが小説家になるにはいいかもしれませんね。人と会う仕事がいいんじゃないですか? とはいえ、割と特殊な人たちと会う仕事をすればいいというのではなく、普通にパン屋さんで働いていて「職場の人がうざい」とか、その程度でも十分なんじゃないかと思います。