お菓子のチカラで
社会をもっと豊かにしたい!

カルビー株式会社大山 美香

さまざまな人の「心の癒し」であるお菓子。
スーパーマーケット(以下スーパー)に行くと、所狭しと美味しそうなお菓子が勢ぞろいしています。
美味しいお菓子は私たちの生活に幸せを与えてくれる、身近な存在。
「将来はお菓子メーカーに就職して、ヒット商品を作りたい!」と夢を膨らませている学生も多いのでは?
今回はお菓子メーカー「カルビー」で日々、ポテトチップスの開発に取り組む大山美香さんにインタビュー。
「新商品のアイデアはどうやってひらめくの?」「ヒット商品を生み出す秘訣は?」などお仕事のお話を中心に、気になるワークライフバランスやプライベートなことまで、じっくりお聞きしてきました!

8:30
業務スタート!

編集部 編集部
仕事開始ですね!
午前中のご予定は何ですか?
大山 大山
まずは当日やることを整理し、1日のスケジュールを確認するようにしています。
そのあとは、商品開発などの会議に参加することが多いですね。
編集部 編集部
会議もオンラインが多いんですか?
大山 大山
今は打ち合わせや会議もすべてオンラインなんです。
クライアントとの商談もオンラインで行っています。
編集部 編集部
大山さんはどういう仕事をしているんですか?
大山 大山
私は主に、大手コンビニで販売するポテトチップスの商品企画をしています。
編集部 編集部
コンビニで販売するポテトチップスですか?
大山 大山
そうです。
実は「そのコンビニチェーンしか売っていない」カルビーのポテトチップスがあるんですけど、知ってましたか?
私は主にそういう商品を企画しています。
編集部 編集部
知らなかったです…!
ポテトチップスといっても、コンビニやスーパーには何十種類も並んでいますよね。
そのなかでヒット商品を考えるって、想像するだけで大変そうです。
大山 大山
まさしく、現在はポテトチップスの戦国時代。
時代によって食のトレンドが変わるので、常に流行をとらえるのが難しいですね。

大山さんの自宅での仕事スペース。同僚の方とはチャットを活用して頻繁にコミュニケーションをとる工夫をしているそう

編集部 編集部
お菓子の商品ってどうやって作られていくんですか?
大山 大山
まず、商品のコンセプトから考えます。
それが固まったら、そのコンセプトに合ったパッケージデザインや商品名、食感、味などをクライアントへ提案。
いろいろ試食していただき、最終的にひとつに絞り込みます。
編集部 編集部
中身だけじゃなくて、パッケージや商品名も大山さんが考えているんですね!
大山 大山
店頭にたくさん並んだ商品の中からお客様に選んでいただくには、中身はもちろん、パッケージや商品名もとても大事。
だからトータルで考える必要があるんです。
編集部 編集部
ひとつの商品を完成させるのに、どれくらいの時間がかかるんですか?
大山 大山
半年〜1年ですね。
1年の始めにクライアントであるコンビニと一緒に年間計画を考えて、「夏には辛いものを出そう」「12月にはクリスマスにちなんだものを出そう」など、あらかじめざっくりスケジュールを決めます。
そのスケジュールを逆算しながら、商品を考えていきます。
編集部 編集部
大山さんがこれまで考えた商品のなかで、一番の自信作は?
大山 大山
自分でいうのも恥ずかしいのですが(笑)、これです!

大山さんの代表作『ポテリッチ』。2020年9月にリニューアル販売して大ヒット!

編集部 編集部
あっ、これ、食べたことあります!
大山 大山
ありがとうございます!
はじめはコンビ二限定商品として、2006年に登場したのですが、昨年9月に、パッケージをリニューアルしました。
今回の商品は、底面にマチがあるので、袋が“自立する”のがポイントなんです!
編集部 編集部
そうそう、便利でいいんですよね!
開く部分も広くて取り出しやすい。
大山 大山
このパッケージを思いついたのは、“「仕事しながら」とか、「ながら食べ」にぴったりなパッケージはできないかな?”という考えがきっかけでした。
特に今はリモートワークが普及して、おやつを食べながら仕事をする人も増えましたよね。
編集部 編集部
私も仕事中、お菓子が手放せません(笑)
大山 大山
そんな時、ふと、「袋が自立したら省スペースになるし、食べやすいんじゃないかな?」って思ったんです。
編集部 編集部
なるほど!
コロナ禍でリモートワークをする人が増えたことなど、社会の変化もお菓子作りの大きなヒントになったんですね。
大山 大山
売り場にたくさんの商品があるなかで、お客様に少しでも目新しさを感じてもらえなければ、購入してもらうのは難しいんです。
だから、「これ、新しいな!」「おもしろそう!」と感じていただく仕掛けを考えることが大事なんです。

新しい仕掛けするために常にTwitterやInstagramなどSNSを活用してリサーチしていると大山さん

ポイントここがポイント

ヒット商品は、時代のなかで生まれるもの。だから、社会の動きや人の行動を注意深く観察することが必要になってきます。 「いま、この世の中で求められているものは何か?」「どんなものがあったら、人々に喜ばれるか?」という思考が、ヒット商品を生み出すカギ!

12:00
ランチタイム

編集部 編集部
そろそろお昼ですね。ランチは普段、どうしているんですか?
大山 大山
リモートワークの時には、ほぼ自炊です。
編集部 編集部
自炊しているんですね!すごいです!
大山 大山
そんな凝ったものは作らないですよ。サッと作ってテレビを観ながら食べ、気分転換しています。

13:00
午後の業務スタート!

編集部 編集部
午後のご予定は何ですか?
大山 大山
今日はチームのミーティングが入っています。あとは、新商品の企画案をまとめる予定です。
編集部 編集部
新商品の企画って、どうやってアイデアがひらめくんですか?
大山 大山
普段から、いろいろなところでヒントを集めています。コンビニやスーパーの売り場をまわって、新しい商品をチェックしたり、InstagramやTwitterなどで流行っているお菓子をチェックしたり……。
編集部 編集部
地道な努力が必要なんですね。
大山 大山
お菓子そのものだけでなく、パッケージや商品名のアイデアも、常に探しています。商品名に使えるワードとか。
編集部 編集部
商品名のワードですか?
大山 大山
たとえば、これも手前味噌で恥ずかしいのですが、私のアイデアから生まれた商品です。
編集部 編集部
あっ、これも知っています!『ポテトチップス 禁断のコンソメパンチ』!

2019年8月に発売し、大好評だった『ポテトチップス 禁断のコンソメパンチ』。2020年3月に再発売され、再びブームに!

大山 大山
たとえばこれが普通の「コンソメパンチ」だったら、あまり注目を引かないですよね。
でも、「禁断の」って付いていると、一瞬「おっ?」と思いません?
編集部 編集部
思います!それだけで興味をそそられます!
大山 大山
カルビーのコンソメパンチのポテトチップスは、秘伝のスパイスを使っているんです。
「もし、そのスパイスを多めにした商品があったら……」と、お客様の気持ちになって考えた時、ひらめいたのが「禁断の」というワードでした。
編集部 編集部
「とうとう、罪なものに手を出してしまった!」みたいな?
大山 大山
そうです(笑)
コンソメパンチのスパイスって、そもそも癖になる味じゃないですか。
この商品は、そのスパイスの配合量を増やすことで、刺激的な味に仕上げたもの。
まさに「禁断の」という言葉がぴったりでした。
編集部 編集部
そういうワードを、お菓子以外のいろいろな広告やパッケージから見つけてきて、アイデアとしてストックしておくんですね。
大山 大山
そうですね、普段からどれだけ自分の引き出しを増やしておくかが勝負だと思っています。

常にブームになっている食べものや事柄をチェック。そこに、次のヒット作のヒントが!

ポイントここがポイント

アイデアの芽は、SNSやインターネット、本、雑誌、テレビなどあちこちに隠れています。
大事なことは、日頃からアンテナを張り続け、「おもしろそう!」「興味深い!」と思ったものは、自分のなかにストックしておくこと。

そうしたストックを、どれだけたくさん持っているかで、仕事の幅が変わってきます。

編集部 編集部
そういえば、カルビーのオフィスは、固定席を持たないフリーアドレス制と伺いました!
実際、働いてみていかがですか?
大山 大山
そうなんです。
毎回フレッシュな気持ちで仕事ができますし、なんといっても毎回、違う人と隣り合って仕事ができるのが、最大の魅力です。
普段、全く接点のない部署の人とも親しくなることができるので、社員同士のコミュニケーションがとりやすいです。

社内の“風通しの良さ”は、フリーアドレス制ならでは。大山さん自身は「入社した時からずっとフリーアドレス制だったので、決まった席で働くイメージができない(笑)」とお話していました

18:00
1日のまとめ

編集部 編集部
ひとつの商品を作るために、どのくらいのアイデアを出しているんですか?
大山 大山
はじめはだいたい4〜5案くらい、考えます。
編集部 編集部
そのなかから、どう絞り込んでいくんですか?
大山 大山
同じチームのメンバーに意見を聞いたり、営業や商品開発担当のメンバーにも話を聞きます。
もちろん、クライアントの意見も大事にしますね。
編集部 編集部
いろいろな人の意見をまとめて、ひとつの商品に仕上げていくんですね。
社内で意見が分かれることはないんですか?
大山 大山
もちろん、ありますよ。
いろいろな意見をまとめて、最終的に上司やクライアントにプレゼンします。
編集部 編集部
プレゼンと聞くと緊張しそうです!
大山 大山
毎回緊張しますが、大事にしているのは「これは売れる!」という信念。
「これは絶対に売れます!私に任せてください!」と自信を持って、ご説明することを大事にしています。
編集部 編集部
でも、まだ世の中に出ていない商品について、「これは売れます!」って説明するのは難しいですよね。
大山 大山
だからこそ、「なんとなく売れそう」っていう直感だけじゃなくて、データや過去の事例なども交えながら、説得力を持って相手に伝えることが大事なんです。
編集部 編集部
なるほど。
直感だけじゃなくて、数字でも根拠を示すから、相手にきちんと伝わるんですね。
大山 大山
カルビーの社員って、そもそも「カルビー愛」がすごい。
だから新商品に対する意見も毎回、本気のぶつかり合いですね。
編集部 編集部
カルビー愛?
大山 大山
カルビーのお菓子も、カルビーという会社の精神も大好き。
だからみんな、愛情を持って新商品を応援してくれるので、周囲のアドバイスが本当にありがたいんです。
編集部 編集部
「カルビー愛」があるからこそひとつの商品を作ることに対して、関わるみなさんが真剣になるから良いものが生まれるんですね。
周囲の人たちとコミュニケーションするうえで心がけていることはありますか?
大山 大山
常に「ありがとう」の気持ちを持つことです。
編集部 編集部
「ありがとう」の気持ちは大事ですよね。
そういった気持ちを持ったのは何かのご経験からですか?
大山 大山
私が学生時代にアルバイトをしていた広告会社での経験ですね。
会社ではたくさんの人が働いているじゃないですか。
わからないことはみんな教えてくれるし、支えてくれる。
編集部 編集部
確かにそうですね。
大山 大山
だから、誰もが気持ちよく仕事をするために、「自分と一緒に働いてくれて、ありがとう」という気持ちを持つことが大事だと思うんです。
編集部 編集部
みんながそういう感謝の気持ちを持てば、会社の雰囲気も良くなりますね。
大山 大山
特に私の仕事は、社内外問わず、たくさんの人と関わります。
だから、自分がチームの“ハブ”として機能することができるよう、「この人と働きたいな」と思ってもらえるように、いつも「ありがとう」という言葉を口にするように心がけています。
編集部 編集部
思っていることを、言葉で伝えることも大事なんですね。
大山 大山
ほんのちょっとしたことでも「ありがとう」って言われると、やっぱり嬉しいじゃないですか。
そういう関係は大事にしたいなと思っています。

ポイントここがポイント

どんな仕事でも、ひとりで完結するものはなく、周囲の人と関わりを持つはず。
だからこそ、大事なのは「感謝」の気持ち。

何かしてもらった時だけじゃなく、普段から「一緒に働いてくれてありがとう」「支えてくれてありがとう」という気持ちを言葉にすることで、周囲の人たちと良いコミュニケーションを保つことができます。

編集部 編集部
大山さんの将来の目標はなんですか?
大山 大山
今はポテトチップスを担当していますが、これからはスナック菓子だけじゃなくて、お煎餅とか珍味とか、違う棚の商品も作ってみたい。
そして、普段はスナック菓子のコーナーに来ない人にもカルビーの商品を知ってもらいたいです!
編集部 編集部
大山さんは本当にカルビーのことが好きなんですね!
大山 大山
大好きです!
入社試験の面接の時には、大学時代にマーケティングのゼミで学んだことを盛り込みながら、勝手に新商品の企画書を作り、熱烈に面接官にアピールしたくらい(笑)
編集部 編集部
すごい!
その熱意も、合格のポイントだったんでしょうね。
大山 大山
それはわかりませんが(笑)、これからもカルビーのお菓子により世の中を明るく、豊かにしていけたらと思っています。
編集部 編集部
素敵ですね!
これからの活躍も期待しています。
今日はどうもありがとうございました!
大山 大山
ありがとうございました!

一問一答

Q:休日には何してる?
A:美術館巡りが好き。
「人は、どういう色やデザインに興味を持つんだろう」って観察しながらアート作品を鑑賞しています。

Q:最近、一番嬉しかったことは?
A:欲しいと思っていた理想どおりのクッションを見つけたこと。
一人暮らしを始めてから、インテリアや雑貨を探すことが、楽しみになりました。


Q:尊敬している人は?
A:母。
母は現在もフルタイムで働いているのですが、私も就職し、一人暮らしをはじめて、あらためて、家事と仕事を両立することの大変さを実感。
仕事で悩みがあると、よくLINEで相談しています。

Q:仕事道具を見せてください!
A:必需品は、手帳。
“メモ魔”で、打ち合わせの内容ややらなければいけないことなどは、必ず手書きでメモしています。


Q:スマホでは何をすることが多いですか?
A:主にLINEで連絡を取り合ったり、InstagramやTwitterで自分が関わった商品の反響をチェックするのが日課です。
1日にスマホを使っているのは2時間ぐらいですね

Q:個人的にお気に入りの本は?
A:小説、ビジネス書などいろいろ読みます。
瀬尾まいこ、万城目学などが好きです。

Q:自分のお仕事を一言で表現すると?
A:世の中を明るく、豊かにする仕事。
美味しいお菓子で社会を元気にしたいです!

Q:職業病だと思うことは?
A:コンビニでお菓子の棚をまわること。
近所のコンビニは週1〜2回、パトロールして新商品をチェックしています。


Recommendおすすめ記事

  • IT系ベンチャーで活躍し続ける秘訣は
    生涯、学び続けること

    株式会社FiNC Technologies
    久保田 遼

    2020.12.23

  • ライブ配信アプリで「ユーザーが幸せになれる世界」を目指す

    株式会社ディー・エヌ・エー
    河野 有妃子

    2020.10.30

  • 【バンダイナムコピクチャーズ】好奇心のおもむくままチャレンジしたさまざまなアルバイトは、アニメの仕事にどう生かされているのか?

    株式会社バンダイナムコピクチャーズ
    松田 つかさ

    2022.11.15

Follow更新通知を受け取る

Twitterをフォローする

What’s HAMIDEL「HAMIDEL」とは

「HAMIDEL」は、未来を担う学生に向けて、「働く」ことにちょっと興味が持てるような情報をお届けするWEBメディアです。「はからずも未来に出会える」をコンセプトに、既成に捉われない”はみ出た企画”で、学生になじみ深い話題の企業で働く社会人のリアルな姿を密着していきます。「アルバイトってどう選んだら良いんだろう。」「将来何がしたいか分からない。」そんな今や先の不安から抜け出し、選択肢を広げるきっかけとなるメディアを目指します!

>>お問い合わせはこちら<<