「もっと稼ぎたいけれど、今のバイトではこれ以上シフトの空きがない」「いろいろな職種にチャレンジしたい」といった理由からアルバイトの掛け持ちを考え始める人は多いのではないでしょうか。しかし、実際に始める際には、税金を支払わなければならなくなる可能性も出てくるので注意が必要です。
そこで今回は、アルバイトを掛け持ちする際のメリットやデメリットをはじめ、注意すべき点についても解説します。
1. アルバイトの掛け持ち メリット・デメリット
メリット
まず、アルバイトの掛け持ちをするときのメリットを紹介します。
収入が増える
アルバイトを掛け持ちする際の最も大きなメリットは収入が増えることです。収入の増加により生活が豊かになり、欲しいものを買えたり、旅行に出かけられたりするほか、将来のために貯金することもできます。また、働く企業ごとに給料日が異なる場合は、月に複数回給与をもらえるので、気持ち的なゆとりが生まれるという声もあります。
人との出会いが増える
職場が増えると、それだけ多くの人と出会うことができます。職種が違えば、従業員の雰囲気も違います。特に学生のアルバイトは社会に出る前に人生経験ができる場であり、そこでの出会いはかけがえのないものです。アルバイトを掛け持つことで人脈の広がりにつながります。
スキルアップ
複数の職場を経験することで、さまざまな技術や知識を身に付けることができます。それぞれの職場の良いところ、悪いところが見えるようになり、社会人としての成長も感じられるでしょう。また、前述したように多種多様な人と接する機会が増え、コミュニケーション力の向上にもつながります。
時間を効率的に使える
2つ以上のアルバイトを掛け持ちすることで、生活の隙間時間を活用して効率よく働けます。ダブルワークで有意義な生活を実現しましょう。
デメリット
アルバイトの掛け持ちにはメリットがある一方で、デメリットも発生します。あらかじめ確認しておくのがおすすめです。
スケジュールの管理が難しい
アルバイトの掛け持ちで難しいのがスケジュール管理です。シフトがかぶっていないか、かぶる時はどのアルバイトを優先するかなど、自分で時間を調整する必要があります。うっかりダブルブッキングして一方をすっぽかしたり、仕事が長引いて次のアルバイトに遅刻したりすると、人に迷惑がかかるので注意しましょう。
勤務時間が長くなり過ぎると私生活への影響も
掛け持ちして、勤務する機会が多くなることにより、働く時間は必然的に長くなります。 たくさん稼ごうと毎日のように複数のアルバイトを入れると、休息を取れず精神的につらくなってしまうことがあります。特に学生の場合はバイトを詰め込み過ぎて、本分である学業がおろそかになるケースもあるようです。ダブルワークをうまくこなすには、ある程度の自己管理が必要といえるでしょう。
2. アルバイトの掛け持ち 注意事項
アルバイトの掛け持ちにより思った以上に稼ぎ過ぎると、所得税の支払いが発生してしまいます。年収が一定の基準を超えないよう収入の調整や管理をしなければならなくなるため、注意が必要です。
年間所得が103万円を超えないように調整する必要がある
所得税はアルバイトも支払う必要がありますが、年収が103万円以下の場合は基本的に免除されます。アルバイト先が1カ所の場合、この103万円を超えない範囲で働くことは比較的容易です。しかし、アルバイト先が複数あると、合計金額が103万円を超えないよう、シフトを自分で調整する必要が出てきます。特に学生は稼ぎ過ぎると親の扶養から外れてしまうこともあるので、あらかじめしっかり確認しておきましょう。ただし、103万円を超えても所得税が非課税となる「勤労学生控除」もあるため、気になる学生はチェックしてください。
掛け持ちをしている場合、103万円を超えると基本的に確定申告が必要
ほとんどのバイト先では「年末調整」が12月頃に行われます。これは、1年間に給与から天引きされた所得税の過不足を調整するために、勤め先の会社によって行われる手続きのことです。原則として勤務先からの給料がひと月に88,000円を超えると給与から所得税が天引きされ、会社が本人に代わって納税を行います。この仕組みのことを「源泉徴収」といいます。ただ、差し引かれている所得税の金額は概算であり、正確な税額は、1年間の合計所得が決定しなければ分かりません。そのため、これらの金額差を年末調整で再計算して精算し、税金を払いすぎていれば還付し、不足していれば追加徴収を行うのです。 掛け持ちをしている場合、この年末調整の際に提出する書類の関係上、1箇所の勤務先のみでしか年末調整を行えません。残りの勤務先に関しては、自身で確定申告を行いましょう。
>【税理士監修】アルバイトの年末調整について解説!掛け持ちしている場合はどうなる?
なお、「掛け持ちしていることをバイト先にバレたくない(知られたくない)」と考えてこれらの手順をきちんと行っていないと、所得税の支払いに関して後々トラブルになる可能性もあるので、適切に対応することを推奨します。
アルバイト先には、掛け持ちしたいと事前に伝えておく
アルバイトであれば掛け持ちが禁止されているケースは少ないようですが、中には同業種や競合店での勤務は控えてほしいとしているところもあります。掛け持ちしてもよいか、する場合はなるべく避けたほうがよい職種はあるかなど事前に確認し、他の勤務先について職場に伝えておくのがおすすめです。あらかじめ上司の理解が得られれば、シフトの融通をきいてもらえる可能性があります。
3. アルバイトの掛け持ち 同一業種の場合
どういう職種のアルバイトを掛け持ちするかで、メリット、注意すべきポイントは違います。まずは、飲食店のアルバイトを掛け持ちするケースを例に説明します。
飲食系に関するスキル向上が見込める
飲食店の仕事内容は、調理と接客に大きく分けられます。飲食店のアルバイトを掛け持ちすると、どちらの場合もスキルの向上が見込めます。調理なら手際が良くなったり、食材に詳しくなったり、より幅広い知識や技術を身に付けることができるでしょう。接客なら場数を踏むことで、お客さんへの話し方をはじめとしたサービスの質が向上します。
情報漏洩の観点からそもそも就業規則で禁止されている場合がある
オリジナルレシピや顧客名簿などが外に漏れるのを防ぐため、中には同業のアルバイトの掛け持ちを就業規則で禁止している飲食店もあります。アルバイトの掛け持ちを希望するなら、応募する際に確認しておきましょう。
離職や収入の減少を余儀なくされた際のことを考える必要がある
飲食業界はコロナの影響で閉店を余儀なくされることがあります。飲食店のアルバイトばかりを掛け持ちしていると、政府や自治体からの休業要請があった場合など、一度に仕事を失ったり収入が減ったりするリスクは高いといえます。
4. アルバイトの掛け持ち 別業種の場合
別職種のアルバイトを掛け持ちする場合は、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは飲食系と事務系のバイトを掛け持ちした場合を例として紹介します。
どの職種の適性があるか分かる
飲食系と事務系では、仕事内容が大きく違います。アルバイトで別職種を経験してみると、自分にどのような適性があるか知ることができるでしょう。
さまざまな経験が積める
飲食系のアルバイトでは調理や接客の仕事、事務系のアルバイトではパソコンを使った仕事といったように、それぞれの職種で異なる業務内容に携わることができます。アルバイトを通してさまざまな経験を積みたいと考える人にはおすすめです。
勤務時間をずらしやすい
飲食系のアルバイトでは、食事の時間帯や休日などは忙しいのが一般的です。一方、事務系のアルバイトの求人のほとんどが平日の朝から夕方にかけてのシフトになります。飲食系と事務系では、勤務時間をずらして掛け持ちしやすいといえるでしょう。
5. アルバイトの掛け持ちに関する本記事のまとめ
アルバイトの掛け持ちには数々のメリットがあり、実践している人はたくさんいます。あらかじめデメリットや注意事項を確認しておけば、トラブルもなく、上手に複数の仕事を両立させることができるでしょう。自分に合ったアルバイトの掛け持ちで、しっかり稼いでみては。