目次
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- 1.年末調整とは?
- 1-1. 年末調整はパートも対象
- 1-2. 年末調整でパートが提出する必要書類
- 1-3. 年収103万円以下と年収130万円以下の違い
- 2.パート主婦(夫)向けの年末調整の書き方
- 2-1. 【103万円以下・130万円以下のパート主婦(夫)対象】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記入例
- 2-2. 【103万円以下・130万円以下のパート主婦(夫)対象】給与所得者の基礎控除申告書の書き方と記入例
- 2-3. 【扶養内のパート主婦(夫)対象】給与所得者の保険料控除申告書の書き方
- 3.パートが年末調整しないとどうなる?
- 4.パートでも確定申告が必要になるケース
- 4-1. パートを掛け持ちしている人
- 4-2. パート以外の副業をしている人
- 4-3. 12月までにパートを辞めた人
- 5.パートの年末調整の書き方に関するよくある質問
- 5-1. パートの年末調整は会社がやってくれる?
- 5-2. 給与所得者の基礎控除申告書はパートも書くのか?
- 5-3. パートで103万以下なら年末調整は必要ないのか?
- 6.パートの人も年末調整の書き方をマスターして所得控除を受けよう
年末調整は、給与を受け取っている多くの人が行う手続きです。パートでも年収103万円を超える人であれば基本的には行う必要があり、正しく申告すれば所得控除を受けられることがあります。 そこで本記事では、パート向けに年末調整の書き方を解説。必要な書類や扶養内の範囲で働く人が記載するべき項目についても紹介しています。確定申告が必要なケースについても解説しているので、当てはまる人はぜひ参考にしてください。
1.年末調整とは?
年末調整とは、給与を受け取る従業員が支払う所得税の過不足を精算するための手続きです。本人に代わり、会社が一定率の所得税を納付する「源泉徴収」という仕組みがありますが、これはあくまで概算なので正確な納税額にはなりません。 その年の正確な年間所得税額を算出するためには、年末調整が必要となります。以下では、年末調整の対象者や必要書類、年収103万円以下と130万円以下の違いについて解説します。
年末調整はパートも対象
雇用形態がパートやアルバイトであっても、以下の要件を満たしていれば年末調整を行う対象になります。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出している
- 一年間に一度でも月給が8万8,000円以上になり源泉徴収が行われている
扶養控除を受けるために、給与の支払いを受けるタイミングで提出するのが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。この書類を提出することで源泉徴収が行われ、所得税の過不足が発生する可能性があるため、年末調整の対象者となります。 また、年内に月給が88,000円以上の月があると、所得税が源泉徴収の対象となります。基本は88,000円未満の月給だったとしても、月給が一度でも88,000円以上になれば、その年は年末調整が必要になるため注意しましょう。
年末調整でパートが提出する必要書類
年末調整において、パートが提出する必要書類は以下の2つです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
生命保険や地震保険、iDeCo(個人型確定拠出年金)などに加入している場合は、「保険料控除申告書」の提出も必要です。 また、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合は「住宅借入金等特別控除申告書」の提出も必要となります。住宅ローンを組んでいる場合は控除の対象と なる可能性があるため、書類提出の漏れがないように注意しましょう。
年収103万円以下と年収130万円以下の違い
パートをしている主婦(夫)であれば、夫または妻の扶養内で働き、配偶者控除や扶養控除を受ける人も多いでしょう。配偶者控除や扶養控除を受ける場合は、年収の上限が決まっており「103万円の壁」「130万円の壁」と呼ばれています。 年収がそれぞれの金額を超えると、主に以下のとおりに影響がおよびます。
年収 | 基準を超えた場合に起こること |
---|---|
103万円 | 103万円を超えた所得に対して所得税がかかる |
130万円 | 社会保険の扶養から外れて社会保険料を支払う義務が発生し、所得税や住民税も納付する必要が出る |
年収103万円と130万円では、及ぼす影響が異なるため、年収をいくらまでに抑えるべきか考慮しながら働くことも重要です。 以下の記事では、扶養控除の要件や控除額について詳しく解説しています。対象になる方はぜひ併せてチェックしてみてください。
【税理士監修】扶養控除が受けられる収入額とは?年収103万円・130万円を意識すべき理由やポイントを解説
2.パート主婦(夫)向けの年末調整の書き方
以下3種類の申告書の書き方を解説します。例文も併せてご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【103万円以下・130万円以下のパート主婦(夫)対象】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記入例
出典:国税庁「令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、自分の扶養状況等を申告する書類であり、年末調整を受けるすべての人が提出するものです。 パートで扶養内の範囲で働いている人は、最上部の基本情報のみ記入して提出します。記入する具体的な項目は、以下のとおりです。
- 氏名
- 個人番号
- 住所または居所
- 生年月日
- 世帯主の氏名
- あなたとの続柄
- 配偶者の有無
▼記入例
(フリガナ) | マイナビ ハナコ | あなたの生年月日 | 平成 4年 10月 15日 | |
あなたの氏名 | まいなび 花子 | 世帯主の氏名 | まいなび 太郎 | |
あなたの個人番号 | 000000000000 | あなたとの続柄 | 夫 | |
あなたの住所又は居所 | (郵便番号123-4567) 東京都〇〇区〇〇 1-2-3 〇〇ハイツ〇〇号室 |
配偶者の有無 | 有・無 |
【103万円以下・130万円以下のパート主婦(夫)対象】給与所得者の基礎控除申告書の書き方と記入例
出典:国税庁「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、年末調整で基礎控除や配偶者控除、所得金額調整控除を受けるために申請する書類です。 扶養内で働くパートであれば、氏名と住所のほか「給与所得者の基礎控除申告書」の欄にも必要事項を記入しましょう。記入するのは、以下6項目です。
- 1. 給与所得に関する収入⾦額
- 2. 給与所得に関する所得⾦額
- 3. 給与所得以外の所得の合計額
- 4. 本年中の合計所得⾦額の⾒積額
- 5. 控除額の計算と区分
- 6. 基礎控除の額
▼記入例
◯あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算
所得の種類 | 収入金額 | 所得金額 | |
(1) | 給与所得 | 1,200,000円 | 65万円 |
(2) | 給与所得以外の所得の合計額 | – | 10万円 |
あなたの本年中の合計所得金額の見積額 ((1)と(2)の合計額) |
75万円 |
◯控除額の計算
判定 | ☑900万円以下(A) | 48 万 円 |
定額減税対象 | 区分I |
□900万円以下(B) | A(左のA~Dを記載) | |||
□950万円超 1,000万円以下(C) | 基礎控除の額 | |||
□1,000万円超 1,805万円以下(D) | 480,000円 | |||
□1,805万円超 2,400万円以下(D) | 48万円 | 本人定額減税対象 | ||
□2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | □ | ||
□2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
まずは年間の収入金額と、所得金額を記載します。所得金額は、年収が161万8,999円以下であれば、年収から55万円を差し引いた金額となります。副業以外の収入があれば(2)の欄に金額を記入し、本業と副業を合算した金額を所得金額の見積額として記載しましょう。
また、控除額の計算では、所得金額の見積額の判定欄に当てはまる該当欄にチェックを入れます。扶養内で働くパートであれば、区分Iには(A)。基礎控除の額は48万円が該当します。
【扶養内のパート主婦(夫)対象】給与所得者の保険料控除申告書の書き方
生命保険や地震保険など、該当する保険に加入している場合は「給与所得者の保険料控除申告書」を提出します。申告することで、保険料控除を受けられるというメリットがあります。
ただし、扶養内で働くパートであれば、夫または妻の年末調整で控除申請を行えるため、申告は不要です。保険料控除申告書の提出が必要な場合は、申告書の上部の氏名と住所のみ記載して提出しましょう。
3.パートが年末調整しないとどうなる?
パートをする従業員が年末調整をしなかった場合、本来受けられるはずの控除が受けられず、支払う税金が高くなる可能性があります。また、住民税は前年の所得額によって決まるため、所得控除が受けられないことで翌年の住民税が高くなることもあるでしょう。
もし年末調整を行わなかった場合は、自分で確定申告をするという選択肢もあります。年末調整に間に合わなかった場合は、翌年2月から3月の間に申告ができる確定申告も検討してみましょう。
4.パートでも確定申告が必要になるケース
年末調整のタイミングで書類の提出が間に合わなかった場合以外にも、パートが確定申告をするケースがあります。以下3パターンについて詳しく見ていきましょう。
パートを掛け持ちしている人
複数の企業でパートを掛け持ちしていて且つ、合計の年収が103万円を超えている場合は、確定申告が必要です。もっとも収入が多い企業では年末調整を行えますが、他の企業の給与は年末調整を行えないため、自分で確定申告をすることになります。
ただし、掛け持ち先の年収が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
パート以外の副業をしている人
業務委託契約による在宅ワークをしていたり、自身の手作り品をフリマアプリ等で販売して得た収入があったりする場合は、確定申告の必要があります。副業収入が年間で20万円以下であれば不要ですが、20万円以上になる見込みがある人は、確定申告を行うことを把握しておきましょう。
12月までにパートを辞めた人
12月までにパートを辞めた人も注意が必要です。年内に次の勤務先で働いていなければ、年末調整が行われないため、確定申告が必要となります。その際、退職時に受け取った前のパート先の源泉徴収票が必要になるため、大切に保管しておきましょう。
以下の記事では、アルバイト・パートにおける源泉徴収票について解説しているので、ぜひ併せてご確認ください。
アルバイトでも源泉徴収票はもらえる?必要なケースやもらえない場合の対処法を解説!
5.パートの年末調整の書き方に関するよくある質問
最後に、パートにける年末調整の書き方に関するよくある質問を3つご紹介します。
パートの年末調整は会社がやってくれる?
年末までパートとして勤務していて「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した人であれば、会社が年末調整を行います。
年末調整は所得税法の義務であり、会社は年末調整を行わないと罰則を受けることになるためです。ただし、以下の場合は年末調整の対象とならないため、注意しましょう。
- 1年間に受け取る給与の総額が2,000万円を超える場合
- 災害減免法により源泉所得税と復興特別所得税の徴収猶予や還付を受けている場合
- 仕事を掛け持ちして2か所以上の勤務先から給与収入を得ており、片方の勤務先に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する場合
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が未提出の場合
- 年の途中で退職した場合
給与所得者の基礎控除申告書はパートも書くのか?
「基礎控除申告書」とは、年末調整で基礎控除を受けるための書類です。2020年以降からは、パートやアルバイトを含めたすべての従業員に提出が義務付けられています。扶養内のパートであれば「基礎控除申告書」の欄に記入して提出しましょう。
記入の仕方は、【103万円以下・130万円以下のパート主婦(夫)対象】給与所得者の基礎控除申告書の書き方と記入例をご確認ください。
パートで103万以下なら年末調整は必要ないのか?
パートで年収が103万円以下であれば、年末調整は不要です。年収103万円以下であれば所得税が課税されず、源泉徴収も行われていないためです。年収103万円以上になると、年末調整の必要性が発生するため、103万円を少しでも超える見込みがある場合は、年末調整の書き方を把握しておくと良いでしょう。
6.パートの人も年末調整の書き方をマスターして所得控除を受けよう
パートとして働いている場合も、年収103万円を超えれば年末調整を行う必要があります。年末調整を行うことで控除が受けられたり、税金が安くなったりすることがあるため、正確に記入してメリットを受けましょう。
ただし、年末調整で提出する書類の種類によって、書き方や記入するべき内容が異なります。年末調整の前に必要な情報を確認し、書き方をマスターしておくとスムーズに提出できるでしょう。
年内にパートを辞めた場合、新しいパート先で働かなければ確定申告をすることになります。年内に新しいパート先で働き始めれば、会社が年末調整を行ってくれるため、ぜひマイナビバイトを活用してパート探しをしてみてください。