「アルバイト」と「契約社員」に法律的な区別はありません。しかし、それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットが存在します。この記事では、アルバイトと契約社員の違いを比較しながら、両社の働き方について解説します。じっくり検討して、自分に合った働き方を見つけてみてください。
アルバイトと契約社員の違い
アルバイトと契約社員という2つの雇用形態は、法律的な区別がありません。そのため今回は、一般的に認識されている違いを紹介します。
雇用形態 | 雇用 区分 |
契約 期間 |
勤務 時間 |
|
正社員 | 正規 | 直接 | 無期 | フル |
契約社員 | 非正規 | 直接 | 有期 | 主に フル |
アルバイト パート |
非正規 | 直接 | 有期 | フル or 時短 |
派遣社員 | 非正規 | 間接 | 有期 | フル or 時短 |
アルバイトの定義
アルバイトとは曜日や勤務時間、勤務期間を自分で選び働く従業員のこと。契約社員に比べて勤務時間が短く、勤務先が了承すれば自分の希望に合わせた時間で働けます。
契約社員の定義
契約社員は契約に定められた雇用期間にもとづいて働く従業員のことです。契約期間は原則最長3年(60歳以上のシニア世代の場合は最長5年)。契約期間満了時に契約終了となりますが、更新できる場合もあります。社の決められた勤務時間にフルタイムで働くことが多いですが、契約の内容によっては時短勤務も可能です。
アルバイトのメリット・デメリット
アルバイトのメリット
(1)短時間勤務がしやすく、週1日~働ける場合も
働く曜日や時間帯を都合に合わせて選べるので、家事の空いた時間帯に勤務することも可能です。勤務先と相談して了承が出れば週1日だけの勤務もOK。また、収入を考えながら扶養内で働けるよう仕事量を調整できるのもメリットといえるでしょう。
(2)希望シフト制なら融通が利きやすい
時間帯や曜日に関係なく本人の希望に合わせてシフトが組める「希望シフト制」であれば、家族の都合やプライベートの予定に合わせて働けます。あらかじめ予定が分っている場合、その日程を避けてシフトが組めるのは大きなポイントでしょう。
(3)仕事の掛け持ちがしやすい
アルバイトはダブルワークを認めていることが多いため、曜日や時間を調整して、複数の仕事を掛け持ちすることが可能です。同時期に他職種の仕事を経験できるうえ、収入アップも狙えます。
アルバイトのデメリット
(1)給料が不安定
毎月のシフトの入り方で収入額が変動するため、「スタッフの人数が多い」などの理由でシフトに入れなければ当然給料は減ってしまいます。
(2)正社員に比べると昇給や賞与の機会も少ない
働く曜日や時間帯を自由に選べる分、正社員と比べて昇給や賞与の機会が少ない傾向にあります。
契約社員のメリット・デメリット
契約社員のメリット
(1)安定した給料が見込める
正社員と同じく週5日・フルタイムで契約することが多いため、正社員に近い給与が得られます。契約内容によっては賞与が出ることもあるでしょう。
(2)先の予定を立てやすい
契約内容によりますが、基本的に定時退社が可能です。出勤日や退社時間が決まっているため、休日や就業後のスケジュールが立てやすくなります。
(3)専門スキルを生かして働ける
専門スキルをもっている場合、契約社員といえども正社員以上の待遇も期待できます。能力を会社に認められると高収入も見込めます。
契約社員のデメリット
(1)すきま時間で働くことが難しい
契約社員はフルタイムで働くことが多く、一般的に勤務時間が長いです。そのため、一日の中の空いた時間だけ使って働くということは難しいでしょう。
(2)アルバイトと比べると責任が大きい
正社員に近い給与が得られる分、担当する業務はアルバイトよりも多くなり、それに伴って責任も大きくなるでしょう。
アルバイトと契約社員はどっちがいい?
アルバイトと契約社員、どちらもメリットとデメリットがあることをお伝えしました。では、どんなポイントを踏まえて選べば良いのでしょうか。
優先事項 | アルバイト | 契約社員 |
プライベート | ◎ | – |
給料 | – | ◎ |
経験 | ◎ | – |
スキル | – | ◎ |
「プライベートの時間を優先したい」→アルバイト
自分や家族の予定によって勤務日や時間を調整したい人は、アルバイトを選ぶと良いでしょう。自分の用事や趣味、家族との時間など優先すべき内容を加味してシフトを組めば、プライベートの時間を尊重しながら、空いた時間を効率的に使って働けるようになります。
「安定した給料を得たい」→契約社員
一定の期間でしっかり収入を得たい人は、契約社員がおすすめです。契約の間は安定した給与をコンスタントに受け取れるので、資金計画が立てやすいのも魅力と言えます。
「いろいろな仕事を経験したい」→アルバイト
複数の仕事を掛け持ちしながら、あらゆる職種を経験できるのもアルバイトの特徴です。曜日や時間を調整してダブルワークをすれば、効率良く収入を得られるでしょう。
「専門スキルを生かしたい」→契約社員
これまでに培った専門スキルを生かしたいなら、契約社員として雇用されるのがベスト。期間が限定されるとはいえ、同じスキルをもつ正社員と肩を並べて働けるので、やりがいは大きく、スキルが更に鍛えられるというメリットもあります。専門スキルを持つ従業員として評価されれば、基本給も高くなり、比較的高い収入も見込めるでしょう。
アルバイトと契約社員に関するよくある質問
Q.正社員・契約社員・アルバイトの違いは?
正社員として雇用されると、社会保険や年次有給休暇、昇進の機会など、安定性と福利厚生の面でメリットを享受でき、長期的な雇用やキャリアの発展も期待されます。一方、業務や責任範囲も広くなる傾向があるでしょう。
契約社員は、一定期間や条件で雇用される形態です。正社員と同様の待遇や福利厚生が受けられる場合もありますが、雇用期間や条件がより柔軟なケースもあります。契約社員として働くことで、安定感と自由度の両方を求めることができるでしょう。
アルバイトは、一般的に短期に働くことを目的とした雇用形態です。柔軟な働き方が可能であり、他の仕事や生活との両立がしやすいという特徴があります。また、さまざまな業界や職種で働けるため、経験の幅を広げることができるでしょう。
Q.パート・アルバイト・契約社員の違いは?
パートは、週数日や週数時間の短時間労働が特徴です。柔軟な働き方ができることから、家庭や学業との両立を考える主婦(夫)や学生に好まれる傾向にあります。
アルバイトも週数日や週数時間の短時間労働が主な特徴ですが、パートよりも期間が長くなる場合が多いです。アルバイトは学生や主婦(夫)、フリーランスなど、他の仕事や生活との両立を重視する方に人気があります。
契約社員は一定の期間や条件で雇用される雇用形態です。正社員に近い待遇や福利厚生を受けられるため、社会保険の加入や有給休暇の取得など、将来の安心感を求める方に選ばれることが多いです。
Q.契約社員になるとアルバイトの掛け持ちはできない?
一般的には、契約社員とアルバイトを同時に掛け持つことは難しいと言われています。
契約社員とアルバイトの同時掛け持ちが難しい理由
- 一定の勤務時間や日数を確保する必要があり、アルバイトとの調整が難しい
- 就業規則でアルバイトが禁止の企業もある
- 体力や精神的な負担が大きい
ただし、一部の企業では契約社員とアルバイトの掛け持ちを許可しているため、まずは就業規則を確認し、相談や調整の余地があるかどうかを確認してみましょう。
アルバイトは契約期間の途中で辞められる?
アルバイト契約期間の途中でも退職は可能です。アルバイトは一定期間の雇用契約を結ぶことが多いため、契約期間を守ることが望ましいですが、事情がある場合には、以下のポイントを押さえてアルバイト先の責任者に申し出ましょう。
- シフト調整のため、できるだけ早く退職の申し出をする
- 辞める理由や感謝の意を伝えるとスムーズに退職しやすい
- 引き継ぎがある場合、業務内容や進捗状況を整理してから引き継ぐ
アルバイトの契約期間途中での退職する必要がある場合には、アルバイト先への配慮や社会人としてのマナーを守ることが大切です。
Q.アルバイトでも雇用契約書は必要?
アルバイトで雇用契約書が必要かどうかは、企業や働く期間によって異なります。長期間でのアルバイト雇用や重要な業務を担当する場合には、雇用契約書が用意されることが多いです。雇用契約書は一般的に、雇用条件や労働時間、報酬、福利厚生などが記載されているので、よく内容を確認しましょう。特に労働条件や報酬、労働時間、休日に注目し、もし疑問や不明な点があれば、遠慮なく雇用主のアルバイト先に質問することが大切です。
業務内容が簡単で期間が短い場合、口頭での合意や簡易な契約書を用いる場合もあります。ただし、雇用契約書がなくても、雇用主との合意事項を明確にし、お互いが納得した上で働くことが重要です。
Q.アルバイトから契約社員に昇格できる?
アルバイトから契約社員への昇格が可能かどうかは、勤務先によって違います。 もしアルバイト先で昇格の機会が与えられる場合には、以下のポイントを押さえて行動しましょう。
- 正確な業務遂行を心掛け積極的に行動する
- 会社が提供する研修などに積極的に参加し、スキルアップを図る
- 周囲とのコミュニケーションを大切にする
ただし、すべてのアルバイトが必ずしも契約社員に昇格できるわけではありません。会社の状況や人員需要などによって異なるため注意が必要です。
Q.シニア契約社員って何?
シニア契約社員とは、定年を迎えた人が一定期間の雇用契約を結び、契約社員として働く制度です。現役引退後に自身のスキルや専門知識を生かして働きたい方にとって魅力的な選択肢と言えます。
シニア契約社員の雇用条件
シニア契約社員の雇用条件は企業によって異なりますが、なかには正社員と同様の待遇が受けられる企業もあります。勤務時間の調整も可能なことが多く、柔軟な働き方ができる点も魅力の一つです。
シニア契約社員で働くときのポイント
シニア契約社員として働く際には、若年層とのコミュニケーションの難しさを感じたり、最新機器の取り扱いに苦心したりするかもしれません。しかし、自分の経験や知識を生かして後輩のサポートや指導を行うなど、貴重な存在として尊重されることも多いでしょう。
自分に合った働き方を選ぼう
働き方はライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。各雇用形態の特徴や違いを比較しながら、自分に最適な働き方を見つけてくださいね。