この記事の要約
事務やデータ入力、受付、コールセンターといった、ビジネスを円滑に機能させるうえでなくてはならない「オフィスワーク」。安定した給与を得られ、未経験可能な求人が多いところからも人気のある職種です。そんなオフィスワークの正社員になるか悩んでいる人も多いでしょう。この記事では、オフィスワークに向いている人や必要なスキル、アルバイトとの違いなど、オフィスワークの正社員の仕事についての基本的な情報を解説します。
1. オフィスワークの正社員に向いている人の特徴
オフィスワークの仕事の特性と、自分の好きなことや得意なことが合っていれば、業務に取り組みやすく、長期的に働きやすくなるでしょう。まずは、オフィスワークの正社員に向いている人の特徴を解説します。
『支援すること』が好き
業務のサポートを通して企業や組織に貢献することができるオフィスワークは、誰かを支援することが好きなタイプの人に向いています。依頼者の要望を的確に理解し、コミュニケーションを重視して仕事をするなかで、誰かの役に立つことに達成感や喜びを感じ、次の仕事へのモチベーションにつなげられるでしょう。
誰かと一緒に頑張りたい
会社や組織での仕事は、業績を上げて利益を増やすことが求められます。そのため、社員とコミュニケーションをとりながら、業務に取り組むことが多くあります。このような点から、オフィスワークの正社員は、会社や組織の目標を達成するために誰かと一緒に頑張ることができる人に向いています。
面倒見が良い
自然体で人への気配りができる人や、面倒見の良い人は、周囲の人からの信頼も自ずと高くなるでしょう。そうした面倒見の良さは、自身がアルバイトの業務サポートや、新人の教育係を任されるときにも活かされます。後輩が一人前に育つことで、部署としても円滑に仕事が回るようになり、結果的に会社への貢献になるはずです。
2. オフィスワークの職種と仕事内容
「オフィスワーク」と一口に言っても、その仕事の内容は事務、受付、コールセンターなど、さまざまです。ここでは、それぞれの具体的な仕事内容について紹介します。
事務の仕事内容
「事務」の仕事内容は、オフィスでの書類作成、電話応対、来客応対、データ入力などオフィスのサポート業務全般が当てはまります。特別な資格は必要なく、未経験の人でも応募できる求人も多い傾向があります。
データ入力の仕事内容
事務とは別に、データ入力を専門に行う仕事もあります。データ入力は、市場調査やアンケート結果などのデータを、パソコンに打ち込む仕事です。企業ごとに指定のフォーマットや専用のシステムを利用することが多いため、基本的なパソコンの操作スキルやタイピングスキルがあれば、未経験でも始めやすいでしょう。
受付の仕事内容
受付は、企業や行政機関などの窓口として、来客対応や電話対応などを専門に行う仕事です。具体的には訪れた人のアポイントの確認、担当者への連絡、案内、問い合わせ対応などが挙げられます。受付は来客との最初の接点になるため、場面に合ったマナーや所作が求められます。
コールセンターの仕事内容
コールセンターはお客さまへの電話対応業務に特化した窓口です。コールセンターの設備を持つ企業が、さまざまな企業や行政などから委託業務として請け負っています。その仕事内容は大きく「インバウンド(電話の受信)」と「アウトバウンド(電話の発信)」の2つに分けられます。
・インバウンド
インバウンドには、商品の受注受付、製品やサービスなどのカスタマーサポートやテクニカルサポート、企業や行政機関の代表電話にかかってきた電話の対応などの業務があります。
・アウトバウンド
アウトバウンドは、コールセンターからお客さまに向けて電話の発信をすることです。セールスのほか、新商品の情報提供やアンケート、世論調査などの業務があります。
インバウンド・アウトバウンド共にアルバイトが電話の窓口となり、正社員はアルバイトの管理やトラブル対応を担当するのが一般的です。
テレフォンアポインター・テレマーケティングの仕事内容
一般的に「テレアポ」と呼ばれるテレフォンアポインターは、営業の一種で、お客さまや企業などに電話をかけ、商品やサービスを購入・利用をしてもらうためのアポイントを取るのが主な仕事です。好印象を持ってもらえるよう、快活で細やかな気配りのできるコミュニケーションスキルが求められます。
新規顧客の獲得を主とするテレアポに対し、既存の顧客に対して商品の販売を案内するのがテレマーケティング。「テレマ」と略称されます。職種名に「マーケティング」と入っているとおり、製品やサービスの品質向上を目指して、顧客のニーズや満足度などを探るための市場調査も行います。

3. オフィスワークの正社員とアルバイトの違い
オフィスワークの正社員とアルバイトの違いは、任せられる仕事の範囲、所定労働日数や勤務時間の長さなどが挙げられます。違いを理解したうえで、自分が希望するのは正社員なのか、アルバイトなのかを検討しましょう。
正社員とアルバイトの勤務形態
アルバイトは雇用契約で労働条件が定められています。基本的にはシフト制となっていて、本人の希望によって勤務時間・日数が変わります。職場の募集条件に応じて、オフィスワークの正社員の勤務時間と同じように「1日8時間×週5日」で働くことができるかもしれません。
それに対し、オフィスワークの正社員は就業規則により、「週休2日制の場合、1日8時間×週5日」といったようにあらかじめ勤務日数が定められています。業務が立て込んでいる時などは残業を求められる場合もありますが、安定した勤務ができるでしょう。
正社員とアルバイトの給与形態
アルバイトは稼働した時間分の給与が支給される時給制のため、月のシフトに応じて給与額が変動します。 昇給はあったとしても軽微なものであり、賞与支給の有無は企業の募集条件により異なります。
一方、オフィスワークの正社員は、毎月一定額の給与が支給され、自身のスキルや職位によって給与のアップが期待できるケースが多くあります。更に、賞与や退職金制度が用意されていれば、正社員に適用されるのが一般的です。
正社員とアルバイトの仕事内容
アルバイトでは正社員の指示のもと、現場の業務や雑務を任されるケースが一般的です。業務の範囲が明確で、単純な作業の繰り返しも多いでしょう。
一方の正社員は、初めはアルバイトと同様に先輩社員の指示のもと業務を行います。ある程度、基本的な業務に慣れてきたら個人の特性を汲んで、徐々に業務を振り分けられることが多いです。アルバイトの業務サポートに回ることもあるでしょう。
4. オフィスワークの正社員になるメリット・デメリット
周囲の人と協力しながら社員の業務をサポートするオフィスワークですが、実際に正社員になるとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここからは、オフィスワークの正社員を目指す前にチェックしておきたいポイントについてご紹介します。
オフィスワークの正社員のメリット
オフィスワークの正社員の最大のメリットは、雇用期間に期限がなく、ライフステージの変化にも対応しやすく、働き続けようと思えば定年まで会社に在籍でき、長期にわたって安定した収入を得られることです。また、実績や経験を評価されれば、昇進や昇給の機会も得やすいでしょう。更に、アルバイトの場合、社会保険に加入するためには一定の条件を満たす必要ありますが、正社員は社会保険に加入でき、充実した福利厚生を受けられます。正社員は長期的に会社に貢献することを期待されるため、労働条件が整っている傾向があります。
オフィスワークの正社員のデメリット
正社員の場合、人事異動のため自分が希望しない部署への異動や、勤務地への転勤を求められることがあります。不本意な異動や転勤を避けるためにも、労働条件をあらかじめ確認することが大切です。
そのほか、企業によっては繁忙期に残業が発生する可能性があります。入社前に残業時間の有無や、平均残業時間を確認しておきましょう。
5. オフィスワークの正社員についてよくある質問
オフィスワークの正社員になるか悩んでいる人は、入社後の不安や心配事を抱えているかもしれません。そこで、オフィスワークの正社員を目指している人から寄せられる「よくある質問」にキャリアコンサルタントが回答します。
Q1. 未経験でオフィスワークの正社員になった場合、入社後はどのような業務を担当しますか?
入社後は、先輩社員が業務に必要な知識やスキルを教えてくれる「OJT(※)」や新人研修などを通して、業務に慣れていきます。まずは全体の業務の流れを掴むところから入り、次に、基本的な業務として自分のデスクで行うルーティン作業や、付随する細かい作業を覚えます。毎日、これらの作業を繰り返し、慣れてきたら徐々に新しい業務に携わり、ときにはイレギュラーな案件を任されるようになるかもしれません。
いずれの業務も先輩社員のサポートなしに、いきなり一人きりで作業をすることは考えにくいです。特に「未経験者歓迎」と記載のある求人で入社した場合、OJTや新人研修などのサポート体制が整った環境であることが多いでしょう。
※OJT(On the Job Training)とは、上司や先輩社員が指導役となり、新人社員や若手社員に対して、現場での実務を通じて業務の知識やノウハウを教える教育手法です。
Q2. パソコン関連の検定や資格を持っていなく、業界未経験ですが、オフィスワークの正社員になれますか?
パソコン関連の検定や資格を持っていなくても、オフィスワークの正社員になれる可能性は十分にあります。特に「未経験者歓迎」と記載のあるオフィスワークの正社員の求人では、パソコンの基本操作ができれば応募条件を満たす場合も多く、さほど心配はいりません。
入社前にパソコンスキルがどの程度あるか、どんなことに使ったことがあるかなどを聞かれるかもしれません。現時点で、実際に業務で使う程度のパソコンスキルがなくても、OJTや新人研修などのサポートを受けながら入社後にスキルを身に付けることも可能です。
もしパソコンスキルに不安がある場合は、日ごろからパソコンに触れて操作やタイピングに慣れておき、余力があれば勉強を始めるのがおすすめです。独学が難しいと感じるときは、ハローワークの職業訓練や、民間のパソコンスクールなどをうまく活用しましょう。
Q3. 電話対応が苦手です。それでもオフィスワークの正社員になれますか?
オフィスワークの仕事の中でも、比較的「データ入力」は電話対応が少ない傾向にあります。ただし、企業によって業務内容が異なるため、面接時に電話応対の有無についてよく質問し、できるだけ不安点を解消するよう努めることが大切です。
ちなみに、「コールセンター」「テレフォンアポインター・テレマーケティング」「受付」などは、電話対応が日常的に行われます。問い合わせの電話を受けたり、自ら電話をかけてコミュニケーションをとったりする必要があるため、苦手と感じるならば避けたほうが無難でしょう。
6. キャリアコンサルタントからのアドバイス
オフィスワークの正社員を目指す中で「パソコンスキルに自信がない」などの不安を抱えている人は多いと思います。その場合は、「未経験者歓迎」と記載のある求人に絞って応募するのがおすすめです。未経験者の募集をしている企業では、基礎的なパソコン操作ができれば業務が行え、新人研修や先輩社員によるサポートのもとスキルを学べるのが一般的です。
そもそも、何事も最初からうまくできる人などいません。今はベテランの先輩達も皆、若いときはできないことが多い初心者だったのです。「自分にはできない」という気持ちよりも、「これからできるようになる」というポジティブな気持ちで、ぜひチャレンジしてみましょう。
また、自己PRや面接の準備をしていると、ついパソコンスキルに着目しがちですが、「支援することが好き」「誰かと一緒に頑張りたい」といったあなたの思いは、オフィスワークの正社員を志望するうえで、強みになります。自信を持って面接官に伝えてみましょう。仕事探しは大変なこともありますが、応援しています。
監修者
フミコ人材育成研究所
代表 古田 文子(ふるた ふみこ)氏