失業保険の受給中でもアルバイトはできる!受給条件や注意点を解説 | マイナビバイトTIMES
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    失業保険の受給中でもアルバイトはできる!受給条件や注意点を解説

この記事の要約

  • 失業保険は、失業中の生活維持のために国から給付される手当のこと
  • 受給条件を満たせば、アルバイトの人も失業給付を受けられる
  • 失業給付の受給期間中のアルバイトは条件次第でできる
  • 状況によっては失業給付が受給不可や減額になるケースもある

失業給付を受給しながらでも、条件次第ではアルバイトをすることができます。すぐに「失業給付の受給範囲内でできるアルバイトを見つけたい」と思っている人は、ぜひマイナビバイトの求人を見てみませんか。マイナビバイトではさまざまな条件にマッチしたアルバイトの求人情報を掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

失業保険(失業給付)は、アルバイトを辞めた後の生活を支えてくれる重要な制度ですが、働いていたときと比べて収入が下がることは避けられません。そのため、生活水準を維持しようと「失業給付を受けながらアルバイトしたい」と考える方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、失業保険の概要と受給要件、受給手続きの流れ、失業給付を受給中にアルバイトをしても良いのかなどについて解説します。


1. 失業保険とは

コロナ 失業保険とは

失業保険とは、失業中の生活維持のために国から給付される手当のことです。
自己都合退職や契約満了、企業の倒産や解雇などの理由で失業してしまった人に対して、最低限の生活を保障するための金銭が支給されます。
なお、「失業保険」は正式名称ではなく、雇用保険の加入者が失業期間中に受給できる「雇用保険の失業等給付の基本手当」(以下、失業給付)が正式名称となります。
雇用給付の加入期間や退職理由など、所定の条件を満たしていれば、パート・アルバイトの人でも受給できます。受け取れる金額は、失業給付が給付され始めるまでの期間や退職理由などによって異なります。


2. アルバイトの失業給付の受給条件

失業保険 受給 条件

失業給付の受給条件は、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関係なく、以下の2点を満たすことです。

  1. ハローワークに来所して求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力もあるにもかかわらず、本人およびハローワークの努力によっても就業できない「失業の状態」にあること。
  2. 離職の日以前原則2年間に 、被保険者期間が通算して12カ月以上あること。

※参照:ハローワークインターネットサービス|基本手当について
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

つまり、失業給付を受給するには、「働く意思と能力があるが、仕事が見つかっていない状態」と認定されなければいけません。
ハローワークに定期的に通って求人票をチェックしたり、面接を受けたりするなど、求職活動をしていることが必要です。
ただ自宅で求人情報を閲覧したり、知人に仕事の紹介を依頼したりしただけでは、求職活動とはみなされません。ハローワークによれば、以下のような活動が求職活動として認められます。

  1. 求人へ応募したこと
  2. ハローワークの職業相談、職業紹介、各種講習、セミナーの受講などを受講したこと
  3. 許可・届出のある民間機関が行う職業相談や職業紹介などを受けたこと、求職活動方法を指導するセミナーなどの受講などをしたこと
  4. 公的機関などが実施する職業相談(各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会)などに受講・参加したこと
  5. 再就職に資する各種国家試験、検定などの資格試験を受験したこと

出典:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

健康状態に問題なく、働くことはできるのに家庭に入るなど、働く意思がみられない場合は失業給付を受給できません。
「離職以前の2年間の通算が12カ月以上」という条件に関しては、当該期間に雇用保険に加入している必要があります。連続12カ月でなく飛び飛びで合計12カ月でも問題はありません。
例えば、1社目を入社10カ月で辞めた時点では失業給付は受け取れませんが、その翌月から2社目で2カ月以上にわたって働けば失業給付の受給要件を満たします。
なお、自分の意思に反する正当な退職理由がある場合は「特定理由離職者」、企業の倒産や解雇によって職を失った人は「特定受給資格者」に該当します。特定理由離職者と特定受給資格者に関しては、離職の日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上あれば失業給付を受給できます。
もう一つ、離職前2年間(倒産や解雇などの場合は1年間)の間に負傷、疾病、出産、育児などの理由によって、30日以上にわたって賃金の支払いを受けられなかった場合は、その日数を加えた期間(最長4年)のうち12カ月の雇用保険加入期間があれば失業給付を受給できます。

出典:厚生労働省|Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html


3. 失業給付の受給手続きの流れ

失業給付 受給手続き 流れ

ここからは、退職してアルバイトを探している人や、すでにアルバイトで働いている人が失業給付を受けるための受給手続きの流れを解説します。

①ハローワークで求職の申し込みを行う

まず、住所を管轄しているハローワークに向かい、求職の申し込みをします。手続きに必要な書類は以下のとおりです。

  • 「雇用保険被保険者離職票1」「雇用保険被保険者離職票2」
  • 運転免許証などの身分証明書
  • マイナンバーが分かるもの(マイナンバーカード、通知カードなど)
  • 預金通帳またはキャッシュカード
  • 証明写真(3cm×2.5cm 2枚)
  • 印鑑

ハローワークの担当者は、申込者が失業給付の受給要件を満たした人物であると確認したうえで、受給資格を決定します。
なお、受給資格決定時には「離職理由の確認」が行われ、同時に受給資格の決定後に「受給資格者のしおり」が交付されます。

②待期期間

待期期間とは、離職理由に関係なく一律で適用される受給までの期間のことです。求職の申し込み手続きをした日から通算して7日間が該当します。離職理由に関係なく、この期間は失業給付を受給できません。

③給付制限期間

自己都合退職などの「一般受給資格者」に分類された場合、待期期間に加えて、更に給付制限期間が設けられます。この期間が設けられた場合は、満了まで失業給付を受けられません。
給付制限期間は、令和2年10月1日以降に離職した人の場合、5年のうち2回までの退職なら2カ月です。ただし、5年のうち3回目以降の退職では給付制限期間が3カ月になります。

④雇用保険受給者説明会に参加する

雇用保険受給者説明会とは、雇用保険の制度の理解を深め、受給に関する事項を把握するための説明会です。参加日時はハローワーク側から事前に通達されますが、受給資格決定後の約1週間後に設定されるのが一般的です。
雇用保険受給資格者のしおり、印鑑、筆記用具など、所定の持ち物を揃えて会場に向かいましょう。会場では、雇用保険受給者証と失業認定申告書が失業者にわたされ、第1回の失業認定日も告知されます。

⑤失業認定日にハローワークに行く

受給資格決定から約3週間後、初回の失業認定日が設定されます。失業認定日にはハローワークへ出向き、失業認定申告書に、「仕事はしていないか」「求職活動はしているか」「働ける状態なのか」といった内容を記載して、受給資格者証を添えて失業の状態を確認してもらうことになります。
失業認定日が設定されるのは4週間に一度です。自己都合退職した方の場合は給付制限期間を経過した後に2回目の認定日が訪れる計算です。

⑥失業給付が振り込まれる

失業の認定を受けてから1週間程度の期間を経た後、基本手当が振り込まれます。


4. 失業給付の受給期間中のアルバイトについて

失業給付 受給期間中 アルバイトについて

続いて、失業給付の受給期間中にアルバイトができるのか、そのルールなどについて解説します。

ハローワークに求職の申し込み前はアルバイトできる

アルバイトを退職した後、ハローワークに求職の申し込みをする前であれば、次のアルバイトをしても問題ありません。
ただし、後述のとおり「アルバイトができない期間」も存在するので、長期契約のアルバイトはできないと考えたほうが良いでしょう。
退職してから求職の申し込みまでの短期間のみアルバイトをするなら、即日払いや日雇いなど、単発仕事がおすすめです。

待機期間中の7日間はアルバイトできない

失業給付の申請をすると、申請した人全員に待期期間が設定されるのは前述のとおりです。この7日間の待期期間にはアルバイトはできません。この期間にアルバイトをすると、失業保険の受給が後ろ倒しになるので注意が必要です。一方、待期期間が終わればアルバイトを開始できます。

給付制限期間中はアルバイトできる

自己都合による退職では、待期期間の後に2~3カ月の給付制限期間が設定されますが、この期間にアルバイトをすることは可能です。給付制限期間中にまったく働かないと無収入になって生活が困窮する可能性があるため、アルバイトが認められています。
ただし、雇用保険の加入条件を満たすまで働くと「就職した」と判断されることには注意が必要です。
雇用保険の加入条件には「1週間の労働時間が20時間以上」「雇用期間が31日以上の見込みがある」の2つがあります。そのため、アルバイトをするにしても週20時間未満に抑える必要があります。
同様に、雇用期間が無期限だと「雇用期間が31日以上の見込がある」と判断されるため、アルバイト先に雇入通知書を発行してもらい、給付制限期間内のアルバイトであることを証明することも求められます。

失業給付の受給中はアルバイトできる

失業給付の受給中も、アルバイトをすることは可能です。ただし、労働時間や収入次第で失業給付が減額されたり、まったく給付されなくなったりする場合があります。
1日当たりの労働時間が4時間未満の場合で内職・手伝いとされた場合、 具体的にいえば、「基本手当日額+バイト収入-控除額」が前職の賃金日額の8割よりも多い場合、差額が失業給付の日額から減額されます。 また、失業給付を受給中にアルバイトをした場合は、
「失業 認定申告書」を失業認定日に提出する際にアルバイトをしたことを必ず申告しなければなりません。申告しないと不正受給となり、以下のような罰則が適用になります。

  • 不正受給した分の返還
  • 受け取った約2倍の金額の納付

不正受給とみなされた後のペナルティは非常に重いため、ルールを守って正しく申告しましょう。


5. アルバイトをして失業給付が受給不可・減額になるケース

失業給付 受給不可・減額 ケース

それでは、アルバイトをすることによって失業給付が減額になる場合、具体的にどういったケースがあるのかを見ていきましょう。

待期期間中にアルバイトをした場合

失業保険の受給資格が決定した日から通算7日間は「待期期間」であり、この期間はアルバイトができません。
この7日間にアルバイトをしてしまうと、待期期間が延長されてしまい、スムーズに失業給付を受けられなくなります。

雇用保険の加入条件を満たすアルバイトをした場合

アルバイトができるといっても、雇用保険に加入できる条件を満たすほど働いてしまうと「就職した」とみなされ、失業給付を受給できなくなります。
【雇用保険の加入条件】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込み

待期期間を超えたアルバイトであっても、上記の条件を満たさない範囲で働くことを意識しましょう。
以下の記事では、パートで働く方が雇用保険に入れる条件などを解説しています。

【社労士監修】パートでも雇用保険に入れる?加入条件やメリット・デメリット、よくある疑問について解説

受給期間を超える日数のアルバイトをした場合

失業給付の受給が後ろ倒しになるケースもあります。減額にはならないので損をするわけではありませんが、1日4時間以上のアルバイトをした場合は失業給付の支給が1日先送りされます。
注意すべきは、「失業給付の受給期間」です。失業給付は離職してから1年間のあいだに受給できるものであり、先送りを続け1年経過してしまうと、失業給付は受給できなくなります。

一日の基本手当の金額の80%よりも稼いだ場合

1日当たりの労働時間が4時間未満の場合で内職・手伝いとされた場合であって、1日の基本手当の80%よりも多く稼いでしまった場合、失業給付は満額受給できなくなります。
基本手当日額とバイト収入の合計から控除を差し引き、それが前職の賃金日額の80%を超える場合は差額が減額になってしまいます。
時給によっては、1日4時間以内の仕事でも減額の条件を満たす可能性があります。高時給のアルバイトをする場合、失業給付の減額要件にかかってしまわないか、十分に気を付けましょう。


6. 失業給付の受給中に就職すると再就職手当がもらえる?

失業給付 受給中 就職

失業給付の受給中にしていたアルバイトがきっかけで次の転職先を見つけたり、アルバイト中の職場で正社員になれたりと、思わぬ再就職先が見つかることもあるかもしれません。
そうした場合、失業給付の受給期間中であっても、基本手当の給付日数が残っていて一定要件を満たせば、再就職手当を受け取れます。
対象になる基本手当の残日数は以下のとおりです。

  • 所定給付日数の3分の2以上が残っている場合:基本手当の支給残日数の70%
  • 所定給付日数の3分の1以上が残っている場合:基本手当の支給残日数の60%

再就職手当については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【社労士監修】アルバイトやパートでも「再就職手当」はもらえる?もらえない人の特徴や計算方法を解説!


7.失業給付の受給中にアルバイトをする際の注意点

失業給付 受給中 バイト 注意点

最後に、失業給付を受給中にアルバイトをする際の注意点についてまとめました。

事前に失業給付の受給範囲内で働きたいことを伝える

失業給付の受給期間にアルバイトをする場合、アルバイトの時間や報酬が一定を超えると失業給付の減額や不支給の対象になる可能性があります。そうならないためにも、アルバイト先に対して事前に「失業給付の受給範囲内で働きたい」という意思を伝えておきましょう。
採用の時点で雇用側が条件に同意してくれれば、雇用保険の加入条件を満たさない範囲、かつ1日の勤務時間や報酬額に気を付けてシフトを組んでもらえるでしょう。

アルバイトをしたら必ず申告をする

失業給付の受給中にアルバイトをしたら、必ずハローワークに申告しましょう。
申告しないでいると正確に働いている時間や報酬額を把握してもらえず、「就職した」と判断されて失業給付が受け取れなくなる原因になります。単にアルバイトとして働いたケースだけでなく、日雇いや研修、試用期間として働いた場合も同様に申告が必要です。

失業給付の不正受給はばれる

申告をわざとしなかったり、収入を偽って申告したりした場合、不正受給とみなされて失業給付が受給できなくなる場合があります。「働いても黙っていればバレないのでは」と思うかもしれませんが、基本的にバレると思っていたほうが良いでしょう。
アルバイト先にマイナンバーカードを提出していれば、マイナンバーを照合することで収入を得た事実が分かってしまうほか、バイト先で雇用保険に加入した場合はすぐにバレます。
不正受給と判断されるとその後の失業給付は受け取れなくなり、厳しい処分が下されます。


8. まとめ

失業中、求職中にアルバイトをしている方でも、一定条件を満たせば雇用保険の基本手当(失業給付)が受け取れます。
さまざまな注意点はあるものの、生活費の足しにできる、転職先を見つけるきっかけになる、などのメリットもあります。
失業保険の受給中にアルバイトをする場合は、ここでご紹介したルールを正しく理解しておきましょう。


<監修>

社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表
特定社会保険労務士
岡 佳伸


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