学生やフリーターの方の中には、アルバイトを掛け持ちして収入を増やしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。アルバイトを掛け持ちする場合は、履歴書を書く時にさまざまなポイントを押さえておくことが大切です。
今回は、アルバイトを掛け持ちする時の履歴書の「職歴欄」「本人希望欄」「志望動機」の書き方について、キャリアアドバイザーが詳しく解説します。
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アルバイトを掛け持ちする時の「履歴書」の書き方
アルバイトを掛け持ちする場合、「履歴書」の書き方にはいくつかの注意が必要です。ここでは、状況別に履歴書の書き方についてご説明していきます。
アルバイトの掛け持ち先を探している場合
これから新たにアルバイトの掛け持ちをしたいと考えている場合でも、履歴書の職歴欄に、現在勤務しているバイト先を記載しておくことが重要です。
面接官に、「どのような勤務スタイルなのか」「週に何日働いているのか」などが伝わるようにすることで、シフトの調整可否や仕事への影響を判断してもらいやすくなります。
【職歴欄の記入例】
年月 | 内容 |
2023年4月 | 株式会社○○ 入社(アルバイト) |
2024年2月 | 株式会社×× 入社(アルバイト) |
現在に至る |
※「在職中」と記載してもかまいません。どちらでも伝わります。
現在勤務しているアルバイト先は略称ではなく、正式名称で記載し、可能であれば担当業務も補足しておきましょう。
過去にアルバイトの掛け持ちをしていた場合
すでに掛け持ちで複数のアルバイトを経験したことがある場合は、その勤務期間や業務内容が応募先にとってどのような意味を持つかを意識することが大切です。
すべてのバイト経験を記載する必要はありませんが、応募先に活かせる経験や比較的最近の職歴を中心にまとめると良いでしょう。ここではパターン別に解説します。
時系列で書く
アルバイトの掛け持ち経験がある場合でも、職歴欄は基本的に上から時系列(古い順から新しい順)で記入しましょう。複数のバイトを並行していた場合も、開始月が早いものから順に記載することで、職歴の流れを把握しやすくなります。
複雑になりそうな時は「同時期に掛け持ちしていた」ことを補足しておくと親切です。
【職歴欄の記入例】
年月 | 内容 |
2021年7月 | 株式会社○○ 入社(アルバイト) |
2022年3月 | 株式会社×× 入社(アルバイト) *上記と掛け持ち勤務 |
2023年2月 | 株式会社○○ 退社 |
2023年9月 | 株式会社×× 退社 |
※掛け持ちをしていた場合は「上記と掛け持ち勤務」などの補足をいれると、時系列でも状況が分かりやすくなります。
会社ごとに書く
掛け持ちでアルバイトをしていた期間が重なっていた場合、それぞれの勤務先ごとにまとめて記載する方法もあります。
特に、同じ職場で長く働いていた、あるいは業務内容に特徴がある場合などは、会社単位で区切って記載した方が伝わりやすいこともあります。
【職歴欄の記入例】
年月 | 内容 |
2019年2月 | 株式会社○○ 入社(アルバイト) |
2023年4月 | 株式会社○○ 退社(アルバイト) |
2019年6月 | 株式会社×× 入社(アルバイト) |
2023年9月 | 株式会社×× 退社 |
※時期が重なっていても、会社単位だと業務内容が明確に伝わります。
アルバイトを掛け持ちしたい時「本人希望欄」には何を書けばいい?
履歴書の本人希望欄は、勤務時間やシフトの希望、掛け持ちの有無などを伝える大切な欄です。ここでは、本人希望欄に書くべきこと、避けたいことをポイント別にご紹介します。
アルバイトを掛け持ちしたいこと
現在すでにアルバイトをしていて、そのうえで新たな仕事を掛け持ちしようとしている場合、「本人希望欄」にその意思を前向きかつ簡潔に記載しましょう。
ポイントは、「なぜ掛け持ちを希望しているのか」「勤務条件に無理がないか」を明確に記載することです。また、シフトの調整が可能であることを添えると、より好印象を与えられるでしょう。
現在、週3日勤務のアルバイトをしていますが、より多く働きたいため、掛け持ち勤務を希望しております。シフト調整は可能ですので、貴社の希望日程に柔軟に対応できます。
上記のように「掛け持ちを希望する理由」と「勤務可能な姿勢」をセットで伝えることが、スムーズな選考につながります。
現在のアルバイト先で副業ができること
次に、本業のアルバイト先が副業を許可しているかどうかを記載することも大切です。勤務先によっては、副業・掛け持ちを禁止している場合もあるため、トラブルを避けるためにも正直に伝えることが重要です。
無断で掛け持ちをすると、「就業規則違反」となるだけでなく、信頼を失ったり、シフト調整に支障をきたしたりするおそれもあります。
現在勤務しているアルバイト先では、副業(掛け持ち勤務)が許可されております。シフトが重ならないよう調整しますので、貴社での勤務に支障はございません。
このように、「副業が可能な状況であること」「問題なく働ける体制が整っていること」を伝えましょう。
勤務可能な曜日や時間帯などの条件
採用する側にとっては「どれだけ柔軟に働けるのか」「自社のシフトに合うか」が判断材料になります。
そのため、掛け持ちでアルバイトを希望する場合は、現在のバイト先のシフトを考慮したうえで、どの曜日・時間帯に勤務できるかを明確に伝えましょう。「〇曜日は夕方以降なら勤務可能」といった具体的な条件付きで記載すると、前向きな意思として受け取られやすくなります。
勤務可能日:月・水・金の終日、土曜は午後以降
※現在のアルバイト先(週3勤務)のシフトと調整可能なため、上記以外の曜日もご相談可能です。
関連記事:バイト履歴書の本人希望欄に書くべき内容とは?書き方のコツや例文・見本を紹介
【動機別】アルバイトを掛け持ちする時の「志望動機」の書き方
アルバイトを掛け持ちする時に大切なのは、その職場で働きたい理由や、自分の働き方について、しっかり伝えることです。ここでは、よくある状況別に志望動機の書き方のポイントをお伝えします。
収入を上げたい時
アルバイトの掛け持ちを希望する理由として多いのが、「もう少し収入を増やしたい」というケースです。
この場合、収入を目的とした志望動機は正直に伝えましょう。ただし、「お金のため」とだけ書くと、仕事への熱意が感じられない印象を与えることもあるため、働く意欲や前向きな姿勢を添えることがポイントです。
学費と生活費を自分でまかなうため、現在のアルバイトに加えて掛け持ちで働ける職場を探しております。限られた時間の中でもしっかり働きたいため、接客業の経験を活かしながら、御社でも即戦力として貢献したいと思っています。
経験を積んでスキルアップをしたい時
掛け持ちで新しいアルバイトを始める動機として、「これまでと違う仕事に挑戦したい」「接客スキルや専門的な知識を身に付けたい」といったスキルアップ志向も好印象です。
この場合は、なぜその職場を選んだのか、どんな力を身に付けたいのかを具体的に伝えることが大切です。単なる興味ではなく、成長意欲として伝えましょう。
将来的に接客やサービス業で働きたいと考えており、現在のアルバイトとは異なる業種で経験を積みたいと思い、応募いたしました。御社の丁寧な接客や店舗運営のスタイルに魅力を感じており、働きながらスキルを磨いていきたいと考えております。
空いている時間を有効に使いたい時
授業やほかのアルバイトのシフトが空いている時間帯を活かして、更に働きたいと考えている方も多いでしょう。このような場合は、「スキマ時間を有効活用したい」という理由に加えて、その職場で働くことに関心がある理由や、柔軟に働ける姿勢を伝えることが大切。
特に短時間勤務やシフト制の職場では、時間帯が明確であると歓迎されやすいため、「○曜日の午後から」「○時以降で勤務可能」など具体的な情報を含めるのがポイントです。
学校や現在のアルバイトのシフトと重ならない時間帯を有効に使いたいと考え、応募いたしました。週2~3日、夕方以降や土日に勤務可能です。短時間でも責任を持って取り組み、業務に貢献できるよう努めたいと考えています。
今までの経験を活かして仕事をしたい時
「これまでの経験を活かせる仕事を選びたい」という動機は、即戦力としての期待につながるポイントになります。この場合は、これまでの業務で身に付けたスキルや経験を簡潔に伝えたうえで、それを新しい職場でどう活かしたいかを明確にしましょう。
過去の経験に基づいた意欲的な応募理由は、説得力があり、採用担当者にも安心感を与えることができます。
これまでカフェでの接客アルバイトを2年間経験しており、コミュニケーション力や臨機応変な対応力を身に付けてきました。今後は更に接客の幅を広げたいと考え、御社の店舗でもその経験を活かして、即戦力として貢献したいと思い、応募いたしました。
関連記事:バイト履歴書の志望動機の書き方・例文23選(学生向け)NG例も解説
アルバイトを掛け持ちする時に押さえておきたい、履歴書の書き方の注意点
アルバイトを掛け持ちする場合、履歴書を書く際に配慮すべき点がいくつかあります。特に、掛け持ちという働き方がマイナスに受け取られないようにする工夫が大切です。ここでは、履歴書を書く時の注意点についてご説明します。
現在の勤務先については「勤務形態」や「就業状況」も併記する
アルバイトを掛け持ちしている、または、これからする予定がある場合、履歴書の職歴欄には現在の勤務先を記載するのが基本です。
その際、「週に何日程度・何時間程度働いているか」「シフト制かどうか」など、勤務状況を簡潔に補足しておくといいでしょう。
〇〇カフェ(アルバイト/週3日・シフト制にて勤務)
キャリアアドバイザーからのアドバイス
現在の勤務先の情報をただ書くだけではなく、勤務頻度や時間帯なども記載することで、選考がスムーズになることがあります。特に、掛け持ちを前提とした応募の場合、採用担当者は「いつ働けるのか」「本業とのバランスは取れるのか」といった点を特に気にします。具体的な勤務状況の記載は、あなたのスケジュール管理能力や誠実さを伝える小さなアピールポイントにもなりますよ。
本人希望欄で掛け持ちの事情を前向きに伝える
履歴書の「本人希望欄」には、勤務可能な曜日や時間帯を記載するのが一般的ですが、掛け持ちをしている、あるいは予定している場合は、その旨も簡潔に記載しておきましょう。
この時、単に「掛け持ちしたい」と伝えるだけでなく、スキル向上や安定した収入を得るためといった前向きな理由を添えることで、より良い印象につながります。
現在、平日は夕方まで「〇〇」にてアルバイトをしております。貴社では、更にスキルを培うために主に夜間や土日を中心に勤務を希望しております。
キャリアアドバイザーからのアドバイス
本人希望欄では、応募先が気にする「勤務可能な時間帯」と「掛け持ちの理由」をバランスよく伝えることが大切です。特に、「スキルを広げたい」「将来に向けて安定した収入を確保したい」といった前向きな理由は、仕事に対する意欲や自己管理能力の高さとして評価されやすくなります。あくまで簡潔に、かつ誠実に書くことで、信頼感のある印象を与えることができるでしょう。
志望動機に「なぜ今、掛け持ちして働くのか」の視点を含める
履歴書の志望動機欄では、ただ「収入を増やしたいから」といった理由だけでは、動機が弱い印象を持たれてしまうことがあります。
そのため、現在のアルバイトとの両立の考え方や、新たなスキルへの意欲、仕事への前向きな姿勢を伝えることが大切です。例えば、「今のバイトでは得られない経験を積みたい」「将来に向けて成長したい」といった自己成長や目的意識が感じられる内容にすると、より説得力のある志望動機になります。
接客経験を更に深めたく、現在のバイトだけでは得られない業種での経験を求めて応募しました。複数の現場で柔軟に働くことで、コミュニケーションのスキルを向上させたいと考えています。
キャリアアドバイザーからのアドバイス
掛け持ちの理由が「収入を増やしたいから」でも問題ありませんが、「その先にどんな目標があるのか」まで伝えると、グッと印象が変わります。例えば「留学資金をためたい」「将来カフェを開きたい」など、自己成長や目的意識を感じさせる内容を示すことで、主体的に働こうとしている姿勢が伝わり、選考でも好印象につながるケースが多いです。動機を書く時には「今、なぜこの仕事を掛け持ちで選ぶのか」という視点を意識してみてくださいね。
アルバイトを掛け持ちする時の履歴書に関するよくある質問
アルバイトを掛け持ちしたいと希望している際、どのように履歴書を作れば良いのか分からないこともあるでしょう。ここでは、アルバイトを掛け持ちする時の、履歴書に関するよくある質問について、キャリアアドバイザーに回答してもらいました。
アルバイトを掛け持ちする時は履歴書に書かないとダメですか?
法律上は、履歴書にすべての情報を網羅しなければならないという決まりがないため、書く義務はありませんが、書いた方が誠実です。特に現在のアルバイトが短時間で、本業に支障がない場合、記載を省略しても大丈夫です。
しかし、採用側は「勤務可能時間」「シフト調整の柔軟性」「総労働時間の過多による勤怠への影響」「競合他社との守秘義務」などを気にすることが多いです。そのため、「現在、別のアルバイトをしている」ことを履歴書の備考欄や本人希望欄で明示しておくと、後々の信頼につながるでしょう。
アルバイトの掛け持ちがきっかけで、面接で落ちる可能性はありますか?
可能性がゼロではありませんが、「伝え方次第」で十分カバーできます。面接官が不安に思うのは、「この人は本当に働けるのか」「すぐに辞めてしまわないか」という点です。つまり、掛け持ちそのものが問題なのではなく、勤務への意欲や安定性が大切です。
逆に言えば、「スキルや経験を活かしたい」「日々のスケジュールをしっかり管理している」などと伝えれば、責任感や自己管理能力をアピールすることもできるでしょう。誠実に、かつ前向きな動機と計画性を伝えることで、むしろ好印象につながるケースも多くあります。
複数のアルバイト経験をどう整理して書けばいいですか?
アルバイト歴が多い場合、「全部を書くべきか」「省略していいのか」と悩まれる方が多いです。その場合、「応募先の仕事内容に関係のある経験を優先して記載」することをおすすめします。
例えば、飲食業のホールスタッフに応募する場合、過去に接客経験があるバイト歴は時系列にきちんと書き、それ以外の短期バイトや無関係な職歴は「その他、イベント運営や軽作業等の短期アルバイトを経験」といった形でまとめると良いでしょう。「履歴書は自分を伝える“編集された情報”で良い」という視点で考えることが大切です。
今までのアルバイトの業種に一貫性がないとマイナスに見られてしまいますか?
一貫性がない=評価されない、とは限りません。むしろ「さまざまな現場で経験を積んできた人は、適応力や柔軟性がある証拠」だといえます。ただ、すべての職歴を時系列に書くだけでなく、「応募先に関係する経験」にフォーカスして伝える工夫が必要です。
例えば、接客、レジ打ち、品出しなどバラバラな経験でも、「人と接する仕事」「時間を意識して動く仕事」など共通するテーマを自分で見つけ、それを志望動機や自己PRにつなげていくと、一貫性があるように伝えることができます。
また、「いろいろ試したからこそ、今回この仕事に絞って応募した」という言い方も説得力があります。大事なのは、「選んできた理由」を自分なりに説明できることです。
監修者からのアドバイス(まとめ)
履歴書を書く時、「どう書けばいいか分からない」「掛け持ちってマイナスに見られないかな」と不安になる方はとても多いもの。しかし、履歴書は「完璧な経歴を書くもの」ではなく、「あなたがどんな気持ちで働きたいか」を伝えるツールです。
今までお伝えしたことを基本にしながら、もし書き方に迷ったら、「この仕事でどんなふうに成長したか」「何を大切に働きたいか」を言葉にしてみてください。その思いこそが、あなたらしい履歴書になります。
履歴書で重要なのは「掛け持ち=やむを得ず」ではなく、「掛け持ち=意欲的・計画的」と読み取ってもらえるような表現をすることです。誠実かつ前向きな姿勢が伝われば、掛け持ちでも信頼を得られるはずです。
監修者 プロフィール
Officeまいとれいや
代表 平井厚子
国家資格キャリアコンサルタントをはじめ、1級キャリアコンサルティング技能士や産業カウンセラーなどの資格を持つ。数々の企業で人材育成やキャリア開発を行い、2012年よりキャリアコンサルタントとして就職支援や就職後の定着支援を実施。2020年には「可能性を広げて納得できる働き方を!」を理念に60歳で起業。現在ではフリーで、就職・キャリア相談や研修講師などを行っている。