憧れの会社に就職したい!憧れの職業に就きたい学生の皆さんに、人気企業で働いている先輩たちが学生時代に行ったアルバイト経験を紹介する本企画。今回は、主に新商品や新企画に携わり、デザインクリエイティブからディレクションまで幅広い仕事を行うデザイナーの平本泰一さんに、学生時代のアルバイト経験や、ガクチカ(学生時代に頑張ったこと)、株式会社ほぼ日でのお仕事についてインタビューしました!
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、対策をしっかり行った上で取材しております。
INTERVIEWスタート!
――まずは平本さんのお仕事を教えてください。
ほぼ日でデザイナーの仕事をしています。デザイナーと言ってもやっていることは多種多様で、デザイン業務からプロデュース業務、ディレクション業務、商品開発業務まで行っています。デザインを使ってプロデュースする仕事と言った方がしっくりくるかもしれません。具体的には商品やイベントのロゴ、Webサイト、その他必要なクリエイティブの企画及びデザインから、必要に応じてチームづくりやワークフローの整理まで対応しています。
――今までほぼ日のどのような商品やイベントに携わりましたか?
ほぼ日主催のお買い物を中心としたイベントである「生活のたのしみ展」では、立ち上げから携わりました。ここでは、ロゴをはじめとするクリエイティブ制作からイベントブースの空間デザインの企画、メインビジュアル制作をするために、どのクリエイターと一緒に制作するかのディレクションまで行いました。2017年の最初は六本木で約20の店舗が並ぶ3日間のイベントから始まりましたが、恵比寿、梅田と場所を変えながら開催を重ね、コロナ禍前の2019年に丸の内で開催したときには約60店舗が参加し、会期も5日間までに拡大しました。
スマートフォンやタブレットをかざすと画面越しにARでさまざまなコンテンツが飛び出す「ほぼ日のアースボール」も、商品開発の段階から関わりました。この商品は、”地球儀にスマートフォンをかざして何かやりたい”という、ざっくりとした商品イメージを商品化するために、グラフィックを使ってどう作り上げるかを提案し、形にしていきました。
■アルバイト経験が、ほぼ日での活躍に直結!
――平本さんがほぼ日に就職しようと思ったきっかけは何だったんですか?
デザインを表現する場が紙媒体の雑誌だけじゃなくてもいいのではないか、と思ったのがきっかけです。
高校生のときは絵を描いたり物を作ったりするのが好きだったので、好きなことを仕事にしたいと思い美術大学に入りました。大学3年生の頃に海外ファッション誌の制作に携わる会社に興味を持ち、自分の作品を送り、アルバイトとして採用してもらえました。卒業後はそのまま、その会社に就職しました。そこでの経験をもとに、より幅広いものをデザインしたいと思っていたところ、仕事を通じて糸井重里が代表取締役社長を務めるほぼ日を知り、糸井の柔軟な考え方に共感し、応募しました。
ほぼ日に入社し大変だったことは、紙媒体の雑誌だけではなくリアルイベントやWebサイトまでデザインするため、ワークフローの整理やディレクションが複雑化したことだそう
■ピザ配達のアルバイトから学んだ「一つ一つ丁寧に対応すること」
――デザイン事務所でのアルバイト経験が今の仕事に繋がったんですね!そこではどのような仕事をしていましたか?
アルバイトを始めたときは、デザインとは全く関係ない仕事から始まりました。最初の仕事は、事務所に植える植物の購入でしたね。そこではちょっとした備品の買い物を頼まれるときにも常にデザイン性やセンスを求められていたので、物を選ぶときには渡す相手が喜ぶ物はどういう何か?をいつも考えながら対応しました。アルバイトから社員になってからは、ライフスタイル誌関連のグラフィックデザイナーとして働きました。デザイナーの仕事では、自分が手掛けるデザインがかっこいいのか、かわいいのか、魅力的なのかを常に考えて仕事をすることが求められましたし、学ぶことができました。
――初めて出社した日のおつかいのチェックは、とても緊張しますね…!その他に学生時代はアルバイトしていましたか?
高校1年生から約1年間は、ファミレスのキッチンで働いていました。皿洗いから始まって、キッチンでの調理もしました。高校2年生の夏にはマリーナスタッフ(※注)をやりました。お客様の船をサポートしたり、台風のときに海藻が上がってきてしまうので、その清掃をしたりしていました。高校卒業間近から大学1年生まではピザ屋の宅配を行っていましたね。大学3年生からは家の近くでコンビニのアルバイトをして、それと同時並行でデザイン事務所のアルバイトをしました。
(※注)「マリーナスタッフ」とは、小型船の船舶を保管する小さな港や水域の施設である「マリーナ」でボートをお預かりしたり、出港のサポートをしたり、マリンレジャーを楽しむ方をサポートするスタッフのことです。
――さまざまなアルバイトを経験されたんですね。今のお仕事をする上で役に立ったアルバイト経験はありましたか?
どのアルバイトも役に立っていますが、例えばピザの宅配のアルバイトですかね。電話注文を受ける際に、一回一回の電話を丁寧に受け答えすることがどれだけ大事かを学びました。お店にとっては何百回のうちの1回の電話でも、お客様にとってはたったの1回。そのため、毎回丁寧に対応することが大事だと教えてもらいました。私は今、インターン生の採用業務にも携わっているのですが、インターン生から提出されたデザインポートフォリオを流れ作業ではなく、一人ひとりについて、しっかり目を通して確認しようと心がけるきっかけになっています。
また、深夜に働いていたコンビニのアルバイトでは、さまざまなお客様が来店するため、接客を通して対応力が高まったと思います。例えば、監視カメラに向かって、急に歌いだすお客様がいたりとか(笑)そのときはなるべく刺激をしないようにするなど、そのお客様にあわせて柔軟に対応していましたね。その経験は、今の仕事の多種多様な商品を取り扱うことや、その状況に応じて臨機応変にさまざまなクライアントと対応することにも活きていますね。
作業を始める前に、作業する場所の確保が重要だとファミレスのアルバイトで教わったそう。今でも作業をする前は、どんな工程になり何が必要か考えながら行っていますと平本さん
――アルバイトでの学びが今の仕事でも活かされているんですね!もし今の状況で学生に戻るとしたら、どんなアルバイトをしてみたいですか?
そば屋やパン屋のような、自分で素材から作って販売するお店で働いてみたいですね。飲食店での調理経験はあるものの、マニュアル化されていたので、自分のさじ加減で作ってみたいです。また、エンターテインメントがもともと好きなので、イベント関連のアルバイトをできたらいいなと思います。今もイベントのデザインを担当することがあるので、それに役立つのではないかと思います。
■仕事に大事なのは「ユーモア」
――今のお仕事にも、とても活かされそうですね!学生時代のアルバイト以外でもガクチカがあったら教えてください!
ずばり、遊ぶことです(笑)何をしたら面白いのか、常に考えていました。子どもの頃は国民的アニメに出てくる、空を飛べる道具を自分で作って、背景も制作して、飛んでいるように見えないか試していました(笑)。高校生の頃も友達と遊び感覚でギター始めてバンドを組んだり、何か面白いことを探す視点が、デザイナーへの道に繋がっていたんだと思います。
今でも何が楽しいのか、楽しいものが仕事に繋げられるかは常に考えていますね。
――最後にアルバイトを探したり、これから就職活動を控える学生の皆さんに、メッセージをお願いします。
「正しさよりもユーモアの方が大切な時があるんだよ」です。例えば、会議やミーティングのときに、自分の伝えたいことをしっかり伝えるために、ただまっすぐ正しいことを伝えるよりも、ユーモアを取り入れながら話してみた方が、相手に届くことがあります。言葉のチョイスを変えたり、みんなを笑わせたりと、ぜひ学生の皆さんも固くなりすぎずにユーモアを取り入れてやってみてください!
インターン生の野口さんと「ほぼ日のアースボール」を見ながら今後、コロナ禍が落ち着いたら行ってみたい国・地域について話す平本さん。インターン生・社員の垣根を越えて仲の良さを感じます
編集部のあとがき
常に楽しいこと、魅力的なことを追い求めて行動している平本さん。ワクワクすることを発見していったからこそ、クリエイティブな発想が生まれてデザイナーとして就職し、ほぼ日での活躍に繋がっているのではないでしょうか。 平本さん、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました!
自分が働きたい企業や職種を見つけ、そのためにはどんなガクチカやアルバイト経験をしてみるといいのか、自分の棚卸しをしてみると良いかもしれませんね。