なぜ自分だけシフトカット?休業手当の事例とトラブル防止策について | マイナビバイトTIMES
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    なぜ自分だけシフトカット?休業手当の事例とトラブル防止策について

本記事では、シフトカットが行われる理由を「自分側」と「雇う側」双方の視点で解説します。休業手当の対象事例やシフトカットされた場合のトラブル防止法についても紹介しているので、自分がバイトで損をしないためにも、シフトカットに対する知識を深めていきましょう!

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1.シフトカットとは

シフトカットとは

シフトカットとは、雇う側の都合で一方的に勤務日数や勤務時間を減らすことを指します。

具体例として以下のようなケースが挙げられます。

  • 労働契約している勤務日数以下でシフトを組まれる
  • シフト上で予定されていた時間よりも早い時間で切り上げさせられる
  • 事前に予告がなくシフトから外された

シフトに関連する労働時間や日数は、給与の額に直接影響するため、働く人にとっては極めて重要なことです。


2.自分だけシフトカットされる理由6選

シフトカットされる理由として、具体的な原因を6つ紹介します。
「自分に原因がある場合」と「雇う側に原因がある場合」の2つの視点で見ていきましょう。

自分に原因がある場合

シフトカットされる理由 自分に原因がある場合

遅刻や欠勤が多い

遅刻や欠勤が多い場合、シフトカットをされる可能性が高まるでしょう。
バイト先のシフトは、1日に必要な労働力にある程度基準をもって組まれているため、遅刻や欠勤をしてしまうと他の従業員の負担が大きくなり、業務全体の生産性も下がってしまいます。遅刻や欠勤が頻繫に続くと店長やスタッフからの信頼も失ってしまうため、徐々にシフトに入れてもらえなくなるかもしれません。

態度が悪い

勤務態度が悪い場合、シフトカットされる可能性が高まるでしょう。
仕事をサボっていたり、指示に従わなかったりするスタッフが働いていると、職場の雰囲気が悪くなります。職場の雰囲気は、お店に対する評価にも関わってくる他、長期的にはお店の利益にもつながってくるので、勤務態度が改善しないスタッフに対してはいずれシフトカットが行われるでしょう。

ミスが多い

ミスが多い場合、シフトカットされる可能性が高まるでしょう。
ミスをすると、その分の修正対応が必要になります。ミスが大きいものだった場合、他のスタッフがフォローする必要もあるでしょう。このような状態が続くと、お店の生産性が悪くなるので、ミスが多いスタッフは徐々にシフトに入れてもらえなくなるかもしれません。

雇う側に原因がある場合

シフトカットされる理由 雇う側に原因がある場合

新人のうちは能力不足のためシフトを入れにくい

新人のうちはシフトカットされる可能性が高まるでしょう。
入社して間もない頃は、覚えていないことも多いため、一人に任せられる業務は限られます。また、付きっきりで指導を受ける場面もあるでしょう。そのため、繁忙期で新人の指導に手が回らない状況の場合などは、シフトカットを行う場合もあるといえます。

スタッフの数が多い

シフト予定日にスタッフの数が多い場合、シフトカットされる可能性が高まるでしょう。
スタッフが多いと一人当たりの仕事量が少なくなり、人件費が余分にかかってしまうため、スタッフを減らすことを目的としたシフトカットが起こる可能性があるでしょう。

経営が厳しく人件費を削る必要がある

経営が厳しい場合、シフトカットされる可能性が高まるでしょう。
お店の立て直しを行う場合、人件費を削ることがあります。目的としては、スタッフに対して支払う給与を減らすことで、経営の安定化を目指すためです。
この問題でのシフトカットは、自分の力だけでは解決することが難しい場合もあります。もし、給与のためにどうしてもシフトに入りたい、ということであれば、Wワークを検討するのも良いかもしれません。

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3.休業手当は支払われる?

シフトカットをされた場合、休業手当は支払われるのかについて、事例と労働基準法をもとに解説していきます。

事例

Aさんは、レストランのチェーン店で週4日のシフトでアルバイトをしています。その日の仕事を終え、これから帰宅しようとしたところ、突然店長とこんな会話が始まりました。

店長「明日は天気が悪くなるみたいだし、お客さまも少ないだろうから来なくていいよ」

Aさん「分かりました。じゃあ明日はお休みさせていただきます」

店長「悪いね」

Aさん「あ、でも今月苦しいんで、別の日にシフトに入りたいのですが」

店長「もう先のシフトは決まっちゃってるから、ちょっと無理だな」

Aさん「そうですか…。ちなみに明日の分のお給料って出ないですよね?」

店長「そりゃそうだよ、働かないんだから当たり前でしょ。悪いけど」

この場合、本当に店長の言うとおり、仕事は休みで無給ということなってしまうのでしょうか?

労働基準法の原則

原則では以下のようになっています。

会社側は、採用の際に労働者との間で個別に取り決めた労働契約を守る義務があります。
会社の就業規則で、出勤日振り替えのルールが決められていれば、①の範囲内で、出勤日の振り替えを行わなければなりません。
会社側の都合で休業しなければならず、出勤日の振り替えもできない場合には、会社側は労働者側に対して、最低でも勤務した場合の6割以上の額の「休業手当」を支払わなければなりません。

お店とAさんの間で、週あたりの勤務日を4日と取り決めている場合、お店はその内容を守る義務があります。
また、この事例ではお店に出勤日振り替えのルールがあったか不明ですが、いずれにしても、別の日に出勤して穴埋めしたいというAさんの提案は断られ、振り替えは行われませんでした。
更に、「明日はお客さまが少なくなりそうだから」というのは、お店側の都合であり、Aさんに非はありません。
この場合は③にあるとおり、お店側にはAさんに対して最低でも6割以上の休業手当を支払う義務が生じます。


4.シフトカットによるトラブル防止法

シフトカットに関連するトラブルを防ぐ方法を2つ紹介します。

自分の契約内容を把握する

シフトカットによるトラブルを防ぐためには、自分の契約内容を把握しておくことが大切です。

会社は、労働者と労働契約を結ぶ際には、労働基準法により労働条件(賃金、労働時間など)を明示し、書面を交付しなければなりません。この義務に違反する使用者は、30万円以下の罰金に処せられます。
※・労働基準法15条 ・労働基準法施行規則5条 ・労働基準法120条

最近では契約書に「労働時間はシフトにより決める」という書き方をして、まるでシフトカットを自由にできるかのような契約を結ぶやり方も出てきているようですが、そのようなやり方では、労働条件が明示されているとは言い難く、上記義務に違反する疑いがあります。

厚生労働省は労働条件を適切に提示するため、書面様式で「労働条件通知書」をサンプルとして示しています。サンプルでは、始業・終業の時刻、休憩時間などのほかに、週当たりの勤務日を記載する欄が設けられています。アルバイトであっても、安定した勤務と収入が重要であることに変わりはありません。労働契約を結ぶ際の重要なチェックポイントの一つといって良いでしょう。

現実には、書面ではなく口頭でのやりとりで済ませてしまうケースもあります。そうした場合は、例えば応募した際の求人広告や、口約束のメモ書きなどを保管するようにしてください。それらが証拠となります。

シフト表と給料明細を保存する

バイト シフトカット問題 改善策

シフトカットによるトラブルを防ぐためには、シフト表と給料明細は保存しておくことも大切です。
万が一、問題が発生して自分たちだけでは問題解決に至らなかった際に、スムーズに労働組合に相談を進めることができるでしょう。


5.シフトカットに関するよくある質問

シフトカットに関連するよくある質問について回答とともに紹介します。

Q.シフト減らされたら辞めるべき?

シフトが減らされたからといって無理に辞めなくて良いです。もし自分に要因がある場合は改善できることは無いかを考え、少しでも改善するように努めましょう。しかし中には雇う側の都合でシフトが減らされている場合もあります。そういう場合は、Wワークを視野に入れてみるのも一つの手です。
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Q.新人が入り、自分のシフトが減らされた場合の対処法は?

もし可能であれば担当者にシフトを増やしてほしいと相談してみてください。シフトを減らしている意識が無かった場合や、中には新人を育てるために、一時的にシフトの比重を変更している場合も考えられます。背景を把握することで対処法を考えることが出来るので、相談してみると良いでしょう。


もしシフト問題を抱えてしまったら

シフトについてだけではありませんが、上司からのお願いというのはなかなか断りづらいものです。職場の雰囲気が悪くなってしまうかもしれない、同僚にしわ寄せがいくかもしれない、上司に目をつけられてしまうかもしれない。こうしたさまざまな懸念が頭をよぎります。

しかし、決められたシフトで人手があまる、職場が円滑にまわらないというのは、店長や更にその上の立場の人が責任を負うべき問題です。自分ひとりで問題解決に向けて動くのではなく、まずは職場の信頼できる同僚と問題を共有し、一緒にどうすべきかを考えてみるのもいいかもしれません。

また、労働条件について無料で相談できる公的なホットラインも開設されています。 以下リンクから相談できるため、シフト関連で問題を抱えている方は、一度相談してみるのもいいでしょう。

労働条件に関する総合情報サイト

監修

緒方桂子氏 南山大学法学部教授、専門は労働法。

著書に『労働法』(有斐閣ストゥディア、共著)など。


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