シフトに入りすぎて大学を留年? ブラックバイトから身を守るために | マイナビバイトTIMES

学業が本分の大学生にとって、授業やサークル活動以外の空いた時間にアルバイトをするのが一般的でした。
ですが、それは過去の話で現在は学費や生活費をアルバイトでまかなう学生が多いのが実態です。
昨今、問題化しているブラックバイトですが、経済的な理由で簡単にバイトを辞められない学生側の事情も。
結果、シフトに入りすぎて大学の出席日数が足りず、単位を落とし、留年してしまう学生もいるようです。
今回は、今の学生が置かれている現状と「ブラックバイト」から身を守るための方法についてまとめました。


1.雇用する側にとってもアルバイトの労働力が必要不可欠に

「ブラックバイト」を引き起こしている要因の一つに、職場におけるアルバイトの役割が大きく様変わりしたことがあげられます。
かつては、アルバイトのような非正規雇用労働者は、正規雇用労働者を補助する立場にありました。 しかし現在では、「アルバイトの◯◯さんがいなければ現場がまわらない」といった非正規雇用労働者を必要不可な存在として、
場合によっては、正規雇用労働者と同等の責任を負わせているケースもあります。
大手企業であっても、正社員はマネジャー的立場にある数人だけで、あとはすべてアルバイトであるということも珍しくありません。
中小零細企業であればなおさらです。この「必要不可欠な存在」であるという認識が強すぎると、
学生に対して学業よりも職場を優先すべきというような、いびつな認識を押し付けてしまうことになります。 現在、日本における非正規雇用労働者の数は2000万人を超え、全体の4割弱であるといわれています(※1)。
これはかなり高い数字です。割合は増加の一途をたどり、現在ではそれが固定化しています。
そのため雇用者側は、非正規雇用労働者を必要不可欠な労働力だと判断する傾向が強まっています。


2.簡単にアルバイトを辞められない。学生側の経済事情も

学費の値上がりや経済格差の拡大といった要因が重なり、簡単にアルバイトを辞められない事情も現代の若者が直面している問題です。
かつては、バイトの稼ぎで学費のすべてを自分で払っていた学生も珍しくありませんでしたが、学費の急激な値上がりにより、それもほとんど実現不可能になっています。
また、今では2人に1人の学生が何かしらの奨学金を借りて進学しているのが実情で(※2)、
例えば月々8万円を借りて大学に通った場合、4年間の貸与総額は384万円。利息を含めると400万円を超えることになります。(※3)。

  1975年(昭和50年) 2016年(平成28年)  
国立 64303円 535800円 8.33倍増
私立(文系) 273289円 750122円 2.74倍増
私立(理系) 392965円 1100963円 2.80倍増

※参照「年次統計」
国立大学授業料私立大学授業料(文系)私立大学授業料(理系)

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3.ブラックバイトの実態を知っておくことも身を守る方法の一つ

学生の労働力に頼る雇用者と簡単にバイトを辞められない学生の事情。そのような中で店長から、
「君がその日休んだら誰が代わりに入るの?代わりに探さないと休めないよ」
「辞めると懲戒解雇扱いになるから、就職に影響するよ」となどと言われたり、
「君のミスのせいで店が損害をこうむった。払えないなら、親に損害賠償を請求するから」と雇用者から言われた事例が報告されています。
このようにして、シフトを強要される、罰金や弁償を求められるのが「ブラックバイト」の実態です。 よくある事例 ・過度な長時間労働を強いる
・残業代が支払われない。サービス残業を求められる
・シフトの強要。無理なシフトで働かせる
・罰金や商品の買い取り、弁償をせまられる
・バイトを辞められない

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4.雇い主の言動に違和感が覚えたら相談を。無効、違法行為が含まれる可能性も

ブラックバイトに陥ってしまうと、学業はもとより、通常の生活にも支障をきたすようになってしまう可能性もあります。
一体どうすればいいのでしょうか? そのためにも、自分の職場がブラックバイトかどうかを見極める必要があります。
人手不足で職場がまわらない場合、必要な数のアルバイトを雇い、シフトを調整するのは雇用側の責任です。
懲戒解雇で就職に影響する、損害賠償をするというのは辞めさせないための脅しであり、無効です。 しかし、学生自身でそうした状況を見極めるのは簡単なことではありません。そんな時のために、労働法の知識をつけておくことは予防策の一つとしておすすめです。
ただ、知識があっても正しい判断を行うことは容易ではないので、問題に直面したら専門的な知識を持った公的機関や、労働組合・ユニオンに現状を話して相談し、一緒に解決策を探りましょう。

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※参照※ (1)「非正規雇用」(厚生労働省) (2)「平成28年度学生生活調査結果」(日本学生支援機構) (3)「大学 ・ 返還例」第二種奨学金【4年制 貸与月数48カ月】(日本学生支援機構)


監修

笹山尚人氏
弁護士、東京法律事務所所属。労働事件全般(労働者側)、契約法一般などを取り扱う。単著に
「ブラック職場~過ちはなぜ繰り返されるのか」(光文社新書)
「パワハラに負けない!」(岩波ジュニア新書)
など多数。


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