単発バイトで確定申告が必要な人は?申告しないとどうなる?【専門家監修】 | マイナビバイトTIMES
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    単発バイトで確定申告が必要な人は?申告しないとどうなる?【専門家監修】

単発バイトで稼いだ収入でも、場合によっては確定申告が必要になります。本記事では、「単発バイトで確定申告が必要なケース」や「確定申告をしなかった場合に起こること」「確定申告の方法」などについて解説しているので、あらかじめ確定申告が必要になるケースを把握しておきましょう。


1. 確定申告とは?年末調整と何が違う?

単発バイト 確定申告必要な方

確定申告について、混同しやすい「年末調整」との違いを交えながら分かりやすく解説します。

そもそも確定申告って何?

確定申告は、1年間の所得とそれに対してどれだけ税金を払うべきかを国に報告し、適切な税金を納めるための手続きです。手続きは納税者本人が行い、確定申告をすることで納め過ぎた税金が還付されたり、逆に不足分の税金を追加で支払ったりします。

アルバイトやパートで収入を得ている人であれば、給与から所得税が源泉徴収されていると年末調整で過不足が精算されますが、「年末調整が勤務先でできない」「複数の勤務先がある」など一定の条件を満たすと確定申告の手続きが必要になります。

年末調整との違いは?

  年末調整 確定申告
いつ 通常毎年12月 通常翌年の
2月16日~3月15日
誰が 会社 自分

年末調整は、従業員の納めるべき所得税の精算手続きのことを指し、源泉徴収をしている会社が行います。基本的に年末に勤務している1社でのみ行うため、複数の勤務先がある方、副業がある方、給与所得以外に不動産所得など別の所得がある方、勤務先に提出していない社会保険料控除がある方など、年末調整ではできなかったさまざまな所得や控除を申告できるのが確定申告です。

年末調整ついて詳しく知りたい方はコチラ↓
>>>アルバイトでも年末調整は必要?必要となる条件をチェック

参考:国税庁|No.2665 年末調整の対象となる人
参考:国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

「所得」について簡単解説
収入から各種控除を差し引いた金額のこと。1月1日~12月31日の1年間の課税所得額から納税額を計算します。
確定申告は、所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までの間に手続きを行います。また、所得税の還付申告の場合には、翌年1月1日以降、5年間提出できます。
(※55万円または65万円の青色申告特別控除など、申告期限がある場合に限る)
参考:国税庁|No.2020 確定申告


2. 単発バイトの収入にかかる税金の種類

単発バイトは収入額に応じて税金が発生する場合があり、主な種類は以下のとおりです。

  • 住民税
  • 所得税
  • 復興特別所得税

日給が9,300円未満の時は源泉徴収される所得税は0円ですが、日給が9,300円以上になると所得税が発生し、源泉徴収の対象となります。また2037年までは復興特別所得税として、所得税の2.1%を納めることになっておりますので留意しておきましょう。

参考:国税庁|個人の方に係る復興特別所得税のあらまし


3. 単発バイトで確定申告が必要かどうかを判断するポイント

単発バイトで確定申告が必要かどうかは、雇用形態によって条件が異なります。単発バイトの雇用形態は「雇用契約」もしくは「業務委託契約」のどちらかになるため、自分の雇用形態を把握したうえで条件を確認しましょう。


雇用契約の場合

雇用契約 単発バイト 確定申告

【◯必要】年収103万円以上で、源泉徴収されていない人

1年間の所得が103万円を超えていて、バイト先から源泉徴収されていない場合は、所得税の納税が必要となるケースが多く、確定申告が必要です。確定申告を行うことで、医療費や各種保険料の支払いが控除される可能性があります。

【◯必要】年収103万円以上で、複数の勤務先から源泉徴収されている人

複数の会社からの給与所得があり、給与所得の合計が103万円を超える場合は、確定申告をして正しい所得税を計算し、精算する必要があります。源泉徴収されている場合は職場から源泉徴収票が配布されるので、失くさないようにしましょう。

【×不要】年収103万円以下の人

年収103万円以下は所得税がかからないため、確定申告は不要です。ただし、年収103万円以下で源泉徴収されている場合は、確定申告することで還付金が受け取れる可能性があります。例えば、単発バイトで源泉徴収されていて、年の途中でバイトを辞めて年末調整をしていない人などは、自分で確定申告をすれば余分に納めている分の税金が還付されるでしょう。

103万円の壁について詳しく知りたい方はコチラ↓
>>>【簡単解説】103万の壁はいつ廃止?超えたらいくら払う?


業務委託契約の場合

業務委託契約 単発バイト 確定申告

【◯必要】給与所得を受け取っていて、かつ雑所得が20万円以上

メインの仕事として給与所得を受け取っており、かつ年末調整をしている人が、副業の単発バイト(雑所得)で20万円を超える場合、確定申告をする必要があります。この場合、確定申告をすることで還付金が受け取れる可能性がありますが、逆に、所得が増えることで納税が必要になることもあります。

【◯必要】収入が雑所得のみの人

収入が雑所得のみの場合には、金額に関わらず確定申告が必要です。「総収入金額-必要経費」が20万円を超えていなくても確定申告は必要ですので、必ず手続きを行うようにしましょう。

「雑所得」について簡単解説
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得のこと。公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
引用:国税庁|No.1500 雑所得

例えば、副業としてライターの単発バイトをする場合は雑所得になりますが、個人事業主としてライターで生計を立てている場合は事業所得になります。事業所得と雑所得の判断があいまいなケースでは、「事業的規模(生計を立てられるくらいの所得かどうか)」を判断基準にしましょう。


4.単発バイトで確定申告をしないとどうなる?

確定申告が必要なケースで申告しなかった場合におこることを解説します。

払い過ぎていた税金が還付されない

確定申告が必要かどうか分からず、何となく確定申告を行っていない場合、払い過ぎている税金の還付が受け取れません。還付は自動で受け取れるものではないので、申告手続きが面倒だと感じても、きちんと申告をするようにしましょう。

延滞税・無申告加算税が課される

確定申告を申告期限内にできなかった場合は、申告期限日から完納する日までの日数に応じて「延滞税」が課せられます。延滞税の計算式は「納付すべき税額×延滞税率×滞納日数÷365」です。申告が遅れるほど延滞税も高くなるので、早めに申告するようにしましょう。

また、税務署の調査によって確定申告をしていなかったことが判明した場合は「無申告加算税」が課せられます。無申告加算税とは、その名のとおり無申告によって追加で加算される税金のことです。税務署の調査前に申告した場合は税率が少し低くなりますが、このような罰則が適用されないように必ず期限内に申告をするようにしましょう。
参考:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき
参考:国税庁|延滞税の計算方法


5. 確定申告の方法

確定申告では、前年度の1月1日から12月31日までの所得をもとに確定申告書を作成し、翌年の2月16日から3月15日までに税務署へ必要書類を提出します。(還付申告の場合には、翌年1月1日から申告可能です。) 確定申告の方法について、手順を詳しく紹介します。

必要書類を揃える

確定申告をするためには、必要書類を揃える必要があります。まずは、バイト先から源泉徴収票をもらいましょう。雑所得の場合は、報酬を支払った企業から源泉徴収票ではなく支払調書が配布されるケースがあるので、大切に保管しておきましょう。確定申告では、源泉徴収票や支払調書の提出義務はありませんが、確定申告書には源泉徴収票や支払調書に書かれている収入金額や源泉徴収税額などを記載します。 確定申告の際に必要になる主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 確定申告書(税務署で配布、もしくは国税庁のホームページ「確定申告作成コーナー」で作成が可能)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、もしくはマイナンバーカード通知書+運転免許証などの身元確認書類)
  • 社会保険料控除証明書
  • 各種保険料の支払額が分かる保険料控除証明書(生命保険料や地震保険料など)
  • 学生証(年末調整をしておらず、勤労学生控除を受ける人のみ)
  • 医療費控除の明細書(医療費控除を受ける場合)
  • ふるさと納税の寄付金の受領書(ワンストップサービスを利用せず寄付金控除を受ける場合)

確定申告書を作成し、必要書類を添えて提出

確定申告書を作成し、必要書類を揃えたら、管轄の税務署へ提出します。e-Taxの場合はスマホやパソコンで作成後はそのまま画面にしたがって提出ができて便利です。また、「確定申告作成コーナー」で作成した確定申告書をプリントアウトし、必要書類と共に郵送する方法もあります。 確定申告書の作成が初めてで不安がある人は、税務署や確定申告会場に直接足を運べば、確定申告書の書き方を教えてもらいながら申告することも可能です。ただし、毎年確定申告の時期は混雑しますので、作成に時間がかかる点に注意が必要です。
参考:国税庁|確定申告作成コーナー


6.単発バイトでも確定申告の手続きについて確認しよう

単発バイトをしている場合、勤務先から所得税が源泉徴収されずに支払われていることも多いため、年収額によっては確定申告を自分で行わなければならないケースがあります。また、契約形態によって確定申告が必要かどうかの条件が変わってきますので、「雇用契約」なのか「業務委託契約」なのかを確認するようにしましょう。どちらに該当するかによって控除される金額が異なり、課税金額も異なります。 確定申告をすると払い過ぎていた税金の還付を受けとることができます。確定申告をしていなければ、所得税だけでなく、延滞税など支払わなくてもいい税金を支払う可能性もあるので、期限内の申告を心掛けましょう。


監修

社会保険労務士 行政書士 CFP(R)
昭和女子大非常勤講師
當舎 緑(とうしゃ みどり)氏
https://tosha.grupo.jp/


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