この記事の要約
- クリエイティブ・編集業界はデザインやアイデアを考えるのが好き、人とのコミュニケーション得意、スケジュール守れる方が向いている
- 職種は幅広く、編集・制作・校正、Web/グラフィックデザイナー、DTP・CADオペレーター、映像/音楽制作・フォトグラファーなどがある
- 正社員は安定感がある一方、残業が多くなる可能性も
- 未経験から挑戦可能で、基本はアシスタント業務からスタートし、経験やスキルを積む
クリエイティブ・編集とは雑誌や書籍などの紙媒体、Webサイト、映像作品の制作に関わる仕事です。自分のアイデアが形になるところに魅力を感じ、正社員を目指す人も多いのではないでしょうか? この記事では、キャリアアドバイザー監修のもと、クリエイティブ・編集の正社員に向いている人の特徴や、正社員になるメリット・デメリット、正社員志望者から寄せられるよくある質問などについて解説します。
1.クリエイティブ・編集の正社員に向いている人の特徴
まずは、クリエイティブ・編集の正社員に向いている人の4つの特徴を詳しく解説していきます。
『デザイン』が好き
クリエイティブや編集の仕事は、ゼロから何かを生み出したり、作り上げたりする仕事です。そのためデザインやものづくりが好きな人に向いている仕事と言えます。また、ものづくりには多くの労力と時間を要しますが、“デザインやものづくりが好き”という気持ちが原動力となり、根気よく続けられる忍耐力につながっていくことも考えられます。自分のデザインや企画が誰かの心を動かしたり、評価されたりすることで大きな自信にもつながるでしょう。
アイデアを形にしたい
クリエイティブや編集の仕事では、多くの人を惹きつける作品を作るための独創性や創造性が求められます。新しいアイデアを形にする発想力や企画力がある人、自分のセンスを生かしたいと考えている人は、やりがいを持って仕事に取り組むことができるでしょう。
ただし、自分の好みだけではなく、一般の人や依頼主であるクライアントに受け入れられるものを生み出すことが重要です。そのためには世の中の情報やトレンドに敏感であり、物事を客観的に見る力が必要になります。
人とコミュニケーションをとるのが得意
クリエイティブや編集の仕事にはクライアントや制作チーム、外注先など多くの人が関わるため、コミュニケーションスキルが求められます。特にクライアントワークの場合、依頼主がどういったものを求めているか適切に把握し、制作に落とし込むスキルの他、制作プランをクライアントに説明する提案力も必要です。
スケジュールを守れる
クリエイティブな側面だけでなく、制作スケジュールの管理など調整作業も生じます。スケジュールの作成・管理が苦にならない人や、納期はしっかり守るといった責任感がある人にも向いています。
2.クリエイティブ・編集の職種と仕事内容
クリエイティブ・編集の仕事に関わる職種は、デザイナーやDTPオペレーター、編集者、フォトグラファーなどがあります。それぞれの仕事内容や、生かせるスキル・資格について詳しく解説します。
編集・制作・校正の仕事内容
編集・校正は、雑誌や書籍などの紙媒体やWEB媒体において、企画やコンテンツ制作などに関わる仕事を指します。
編集・制作
企業や自分の担当業務にもよりますが、企画、制作、編集、取材、撮影、執筆などを行うのが「編集・制作」です。クライアントとの打ち合わせや、外部の作家や出演者などへの依頼、デザイナーやカメラマン(男女)などとのやりとり、スケジュール管理なども業務の一部です。昇格し責任者のポジションに就くと、チームをまとめる統率力や進行指揮、品質管理スキルなどが求められます。
校正
校正は原稿や印刷物などの誤字脱字や、表記の仕方にばらつきがないか、文法の使い方に間違いがないかなどのチェックを行う仕事です。大手出版社の校正部署や、校正を専門とするプロダクションなどで活躍しています。校正者に求められるスキルは、細かな確認作業に長時間打ち込める集中力や、文字の間違いに気付ける力などが挙げられます。
Web/グラフィックデザイナーの仕事内容
クリエイティブの仕事の一つに、Webサイトやカタログ、POP(ポスターや看板)などを作成するデザイナーの職種があります。
Webデザイナー
WebサイトやWeb広告を主に扱うデザイナーは「Webデザイナー」と呼ばれます。人の目に留まるデザイン性だけでなく、Webサイトでは操作性・視認性の高さも求められます。そのためデザインスキルだけでなく、サイト設計に関わるコーディングやプログラミングの知識もあると役に立ちます。
グラフィックデザイナー
制作物の視覚的なデザインを専門に扱うのが「グラフィックデザイナー」の仕事です。インターネットが普及する以前は商品パッケージやポスター、カタログなど紙媒体での仕事がメインでしたが、今ではWebの媒体も手掛けるのが一般的です。限られたスペースで訴求力のあるデザインを作成するスキルや、コンセプトの理解力、色彩感覚などが求められます。
いずれの場合もグラフィックソフトを用いて作業するため、志望企業の業務で採用しているソフトの使用経験があると入社後に役立ちます。
DTP・CADオペレーターの仕事内容
DTP・CADオペレーターとは印刷物や設計図を作成する職種で、ディレクターや設計者、デザイナーなどの指示を受け、依頼どおりにデータを仕上げる仕事です。
DTPオペレーター
DTP(DeskTop Publishing)とは印刷物の制作を指します。デザイナーなどが作ったデータを加工・修正し、印刷用に整える仕事です。具体的には写真の加工や合成をしたり、レイアウトを指示どおりに作成したりなど、グラフィックソフトを用いて幅広い作業を行います。主な勤務先としては印刷会社やデザイン事務所、広告代理店、編集プロダクションなどです。
CADオペレーター
CAD(Computer Aided Design)とは、立体物のデザインや図面を作成するソフトウエェアのことです。このソフトを用いて作業する人を「CADオペレーター」と呼びます。クリエイティブ・編集業界や建築業界での求人をよく見かけますが、アパレル業界やジュエリー業界などさまざまな業界でも活躍しています。
いずれもパソコンの基本操作ができれば、未経験者でも応募することができます。専用のソフトウエアの知識や使用経験、関連する資格があると就活で有利です。
映像/音楽制作・フォトグラファーの仕事内容
映画やCM、ミュージックビデオ、雑誌といった作品には、映像/音楽制作、フォトグラファーが携わっています。
映像/音楽制作
映像制作や音楽制作では、動画広告やCMなどの作品を作り上げるために各専門分野のスキルを持った人がチームを組んで仕事をしており、各専門分野によって、より詳細に職種が分類されます。例えば、動画の構成や演出を考える「動画クリエイター」や、作品のテーマ曲や効果音などあらゆるサウンドを担当する「サウンドクリエーター」、映像の撮影をする「カメラマン(男女)」の他、制作全体の指揮をとる「プロデューサー」や「ディレクター」などが挙げられます。テレビや映画の分野では「放送作家」や「脚本家」なども活躍しています。
フォトグラファー
フォトグラファーは動画ではなく、静止画を撮影するカメラマン(男女)のことです。撮影対象は人物や建物、商品などさまざまで、広告や雑誌、Web媒体に使用する写真を撮影します。撮影後に写真の修正や加工を行うレタッチ作業が生じる場合があるので、グラフィックソフトの知識があるとより役立ちます。

3.クリエイティブ・編集の正社員とアルバイトの違い
クリエイティブ・編集の正社員とアルバイトの違いは、仕事内容、勤務形態、給与体系、仕事内容などに現れます。自分がどのような働き方を望んでいるのか、そのためには正社員とアルバイトのどちらを選択するべきかをいま一度、確認しましょう。
正社員とアルバイトの勤務形態
アルバイトはシフト制が一般的で、ある程度は勤務時間や出勤日数を希望することができます。ただし、シフト状況や、企業の事情によってはアルバイトに入りづらい期間が生まれ、勤務日数や給料が安定しないことも考えられます。
一方、正社員の勤務形態は、各企業によって労働時間が決められている「フルタイム勤務」が一般的です。「9時〜18時」「10時〜19時」など休憩時間をのぞいて1日8時間の労働を基準にしているケースがよく見られます。
クリエイティブ・編集では、個人のスキルによって一つの制作物に対してかかる作業時間が異なるため、「裁量労働制」といって働き方を個人の裁量に任せる仕組みを採用している企業もあります。この場合、やるべき成果やタスクを達成すれば仕事を早く終わらせても、通常と同じ給料をもらうことができるため、効率よく仕事をするためのモチベーションになる人もいるようです。
正社員とアルバイトの給与体系
クリエイティブ・編集のアルバイトは日給制や時給制であることが一般的です。勤務状況によって金額が変わるため、きちんと計画を立てておかないと毎月の収入が安定しづらいかもしれません。
正社員の場合は、月給制の固定給のため、毎月、一定の収入が見込めます。昇格によって給料アップのチャンスがあり、企業によっては賞与がある点がアルバイトとの大きな違いと言えます。社会人になると生活費や交際費、趣味にかかる費用のほか、結婚やローンを組んでの買い物などの大きな出費も考えられます。正社員の安定した給料がもらえることで、ライフプランが立てやすくなるでしょう。
正社員とアルバイトの仕事内容
クリエイティブ・編集のアルバイトは、基本的に正社員の指示にしたがって作業を行う「サポート業務」がメインです。制作や編集における単純作業を任されることが多いかもしれません。
一方、正社員は自らが案件の担当者になって仕事に従事できます。ただし、未経験で入社した場合は、いきなりハードルの高い仕事を任されることはほとんどありません。「アシスタント」の立場としてアルバイトと同様に、先輩社員の指示やアドバイスをもらいながら単純作業やサポート業務から携わり、徐々に経験を積んでいきます。
将来的には、デザイナーや編集者などの専門職として実績を積み上げるだけでなく、ディレクターやプロデューサーといった全体管理や統率を担う職種にステップアップを目指せます。また、独立して自分の会社を持ったり、フリーランスとして働いたりする選択肢も考えられます。
4.クリエイティブ・編集の正社員になるメリット・デメリット
クリエイティブ・編集の正社員になると、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか? どちらの側面も知ったうえで、正社員への道を検討しましょう。
クリエイティブ・編集の正社員のメリット
一般的に正社員のメリットとして挙げられるのは安定感です。雇用期間の定めがなく、充実した福利厚生、また長く働くことで経験を積めば、スキルアップや職種のステップアップも目指せます。
また、所属する企業が制作会社なのか、一般企業なのかによっても得られるメリットは異なります。制作会社のようにクライアントの要望に沿って制作する業務の場合、さまざまな業界や案件に関わるなかで知識や経験を積むことができます。一方、一般企業に勤めて自社のWeb関連のサービスやコンテンツ、出版事業に携わる場合、読者やユーザーからの反響を直に感じながら仕事ができるため、やりがいにもつながるでしょう。
クリエイティブ・編集の正社員のデメリット
クリエイティブ・編集の正社員は実績が評価される仕事のため、どうしても仕事量が多くなり、残業が生じる可能性があります。クライアントからの度重なる指示の対応に追われて仕事が膨らんでしまう、作業時間とスケジュールが嚙み合わず残業を余儀なくされるなど、その理由はさまざまです。残業によってプライベートの時間が取りづらくなってしまうことは考えられるかもしれません。
ただし近年、時間外労働(残業)の上限規制は厳しくなり、働き方の改善に積極的に取り組む企業では、過度な残業は減りつつあります。労働環境に不安を感じる場合は、働き方の制度がしっかり整った会社を中心に選びつつ、雇用条件をしっかり確認し、面接でも詳しく聞いておきましょう。
5.クリエイティブ・編集の正社員についてよくある質問
最後に、クリエイティブ・編集の正社員についてよくある質問について、Q&A形式で解説していきます。クリエイティブ・編集の業界に詳しいキャリアアドバイザーの回答をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
Q1. 正社員としてクリエイティブ・編集の適性があるかどうか不安です。
クリエイティブ・編集に限らず、携わっている仕事に適性があるかどうか問われれば、不安になる人もいるでしょう。不安を払拭するためには、正社員として多くの経験を積むことが大切です。
特にクリエイティブ・編集は、クライアントの要望に応えるための制作が重視されます。そのためには適性も大切ですが、正社員としての仕事を通して身に付けられる経験や知識、スキルが役立ちます。これから正社員として経験を積んで、仕事に慣れていけば大丈夫です。適性に不安を感じているということは、まだまだ伸びしろがあることの証とも言えるかもしれません。
Q2. クリエイティブ・編集が好きですが、仕事のクオリティを求められることに躊躇してしまいます。
クリエイティブ・編集の仕事が好きだという気持ちが、正社員として活躍するためにはとても大切です。未経験で入社した場合、新人のうちからスキルアップや品質などのクオリティを求められることほとんどなく、アシスタント業務からスタートし、先輩社員に教わりながら経験やスキルを積んでいきます。新人がプレッシャーに感じることがないように、成功体験を積ませていくような育成を行っている企業も多いため、新人研修やサポート体制が整っているかどうかを面接で聞いてみましょう。正社員で入社すると、「結果を出さなければ」と焦る気持ちも理解できますが、正社員は、雇用期間の制限がないため、特別な事情がない限り、いきなり仕事がなくなることはほとんどありません(アルバイトの多くは雇用期間が定められており、期限が来たら契約を更新する必要があります)。じっくりと仕事に取り組み、少しずつ結果を出していけば大丈夫です。
Q3. 映像制作会社での仕事は、残業が多いですか?
企業により異なりますが、一般的に映像制作会社の制作業務は残業が生じやすい傾向があります。納期の関係で、イレギュラーな仕事の仕方をする会社も中にはあるため、残業や休日出勤が多いかどうかは、事前に確認するのがおすすめです。しかし、長時間労働や現場の負担を減らすべく、労働環境の改善を実施している映像制作会社もあります。会社全体で残業を減らす取り組みをしていたり、柔軟に働けるフレックス勤務制度を採用していたりする企業が増えているため、企業の情報をよく調べてみましょう。
Q4. Webデザイナーの正社員になるためにやるべきことは何ですか? また、勤め先はどういったところがありますか?
Webデザイナーになるためには、あらかじめWebデザインに関する基礎知識や技術を取得しておくと就活で有利です。志望する企業の業務に必要な制作ツールに使い慣れておくのも良いでしょう。
デザインをWeb上に表現するための「コーディング」もWebデザイナーに求められることがあります。プログラミング言語を使用するため、学習しておいたほうがスムーズに仕事に取り組めるでしょう。主な勤め先は、制作会社や広告代理店などです。これらの場合、クライアントの要望に基づき制作する仕事が基本となります。その他、一般企業に勤めて、自社のWeb業務全般に携わる道があります。
6.キャリアアドバイザーからのアドバイス
クリエイティブ・編集の仕事は新しい感覚や視点が重要であり、若い世代の人たちが活躍するチャンスが大いにあります。デザインが好きな人やアイデアを形にしたい人、人と関わるのが好きな人はもちろん、情報・トレンドに敏感な人、クライアントの要望や立場に寄り添える人は活躍できる可能性があるでしょう。まずはどういった仕事に就きたいかを具体的にイメージして、自分のやりたいことがイメージできているならば、それが実現できる企業を見つければいいのです。
クリエイティブ・編集は、実際に「作る」という側面もありますが、クライアントの要望をヒアリングするコミュニケーション力、魅力的なアイデアを発想する企画力、納期を守れるようスケジュールを管理する計画力なども活かせる職種です。自分の得意なことを活かせる仕事、働きやすい職場をぜひ探してみましょう。悩んでいるならばぜひ、一歩踏み出してチャレンジしてみてください。
監修者
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
谷所 健一郎(やどころ けんいちろう)氏