この記事の要約
- 目標を達成することが好きで、コミュニケーションが得意な方が営業職に向いている
- 営業はお客様との信頼関係を築き、課題解決を支援する仕事
- 仕事内容は職種により異なるため、自分がどの営業に携わりたいかを明確にする
- ノルマや目標が厳しい場合もあるが、成果を出すことで評価や給与アップにつながり、達成感を得られる
営業は、企業が提供する商品やサービスについてお客さまにわかりやすく紹介し、販売につなげる仕事です。特別な資格が必要なく、未経験者の募集をしている企業もよく見られるため、正社員採用を考えている人も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな営業の正社員の仕事に向いている人の特徴や、営業の仕事内容、正社員になることのメリットなどについて詳しく解説します。
1.営業の正社員に向いている人の特徴
営業で必要なスキルと個人の適性がマッチしていると、仕事に前向きに取り組めて、成果を上げやすくなります。では、どのような人が営業の正社員に向いているのでしょうか? その特徴を説明します。
『目標を達成すること』が好き
営業職は目標を達成することに重きが置かれ、競争を求められる環境であることがほとんどです。そのため、チャレンジ精神や向上心がある人には適性があります。さまざまな困難に立ち向かいながら目標をクリアしていくことが、自身の成長の実感にもつながります。
コミュニケーションが得意
営業はお客さまとのコミュニケーションが重要とされる仕事です。会話を通じて、人との信頼関係を築く力があり、顧客ニーズを理解できる人は、商品やサービスに関する提案を的確に行うことができるので、営業成績を伸ばしやすくなります。
柔軟で忍耐強い
市場変動や競争の激化など、営業は予測できない状況に直面することが多々あります。そのため、顧客のニーズに応じて販売するものやサービス内容が変わっても、新しい商品を売り込むための努力ができるなど、変化に柔軟に対応できる人には適性があると言えます。また、対人の仕事であるため、時にはクレームを受けることもあります。そうした難しい状況でも、真摯に対応し、前向きに取り組む忍耐強い姿勢は評価されるでしょう。
チームで働くことが好き
顧客ニーズや市場を広く理解するという点で、チームで協力することも必要となります。自分が得た知識やノウハウをチーム全体に共有したり、さまざまなメンバーと積極的に交流して情報収集したりして、個人の成績だけではなくチームと共に目標達成を目指せる人は向いているでしょう。
人と関わることが好き
営業は顧客との対話や人間関係を重視する仕事であり、日常的に人と接する機会が多くあります。コミュニケーション力や提案力といったスキルも必要ですが、そもそも人と関わることが好きで、人に興味を持てるかどうかが、営業にとって大切な素質です。
行動力がある
行動力がある人は、営業職で自身の長所を活かすことができるでしょう。例えば、顧客先へ直接訪問することが多い営業では、1日に何件も足を運び提案を行います。訪問件数が多いほど成果の達成につながるケースもあり、行動力が活きるでしょう。また、営業を成功させるためには、日々の試行錯誤が大切です。「反省点を改善する」「新しい方法を試してみる」といった行動力のある人は、成長も早いでしょう。
2.営業の職種と仕事内容
営業の職種によって、営業の方法や関わる顧客などが変わります。それぞれの職種を理解した上で、自分自身がどの営業に携わりたいかを明確にすることも大切です。ここからは、その職種と仕事内容について、詳しく説明していきます。
営業の仕事内容
営業は、商品やサービスについて提案したり、販売したりするのが主な業務です。顧客のニーズをヒアリングし、最適な提案をすることで、先方が抱えている課題の解決を行います。これまで取引のない新しい顧客の獲得を目的とした「新規開拓営業」のほか、すでに取引のある顧客を対象にした営業活動などその種類はさまざまです。適切な提案をするためには、顧客との信頼関係を築き、対話を重ねる姿勢が求められます。
ルートセールスの仕事内容
営業の中でも、すでに取引関係のある顧客を定期的に訪問し、商品やサービスの紹介、販売を行う営業手法をルートセールスといいます。顧客の満足度が下がれば、取引がなくなる可能性もあるため、常に良好な関係を維持する努力が必要とされます。決まった仕事だけでなく、顧客のニーズにマッチしたサービスを継続して提案し続ける姿勢が求められる仕事です。
営業アシスタントの仕事内容
営業アシスタントの主な仕事は、外回りなどでデスクワークをする時間が少ない営業担当者に代わり、スケジュール管理や事務作業などを担当します。直接、顧客とのやりとりをする機会は少ないですが、サポートとして営業の同行も業務の一部。営業担当者がパフォーマンスを最大限発揮できるように、言われたことをこなすだけでなく、必要な準備を先回りして行う自主性や気配り、コミュニケーション能力が求められます。

3.営業の正社員とアルバイトの違い
正社員とアルバイトの違いは、担当する業務の範囲や給与体系、勤務形態などさまざまです。正社員を目指す際には、こうした違いを確認しておきましょう。
正社員とアルバイトの勤務形態
営業の正社員の勤務形態は、「1日8時間・週5日勤務」のフルタイムが一般的です。仕事の進め方は個人に委ねられていて、慣れてきたらスケジュールを自分で管理して働くことができる企業も多いようです。一方で、アルバイトは「シフト制」が一般的です。シフトを組む際には取引先の都合も考慮することもあり、自分の希望した日時がすべて通るとは限りません。そのため毎月の勤務時間が安定しづらい可能性があります。
正社員とアルバイトの給与体系
営業の正社員とアルバイトでは担当する業務が違うため、給与にも違いが出てきます。会社により違いはありますが、営業の正社員の給与は、固定給で月給制でもらえるため、安定した収入が見込めるのが一般的です。さらに、営業の成績がインセンティブ(※1)として反映される企業が多く、成果を出せばダイレクトに給与を増やすことが可能です。
一方、アルバイトは時給計算のみで給与が決まるケースが多いため、シフトの入り方によっては毎月の給与が安定しづらく、成果を出しても給与には反映されないかもしれません。
※1 インセンティブ(英:incentive)とは、仕事の成果や売上に応じてお金や表彰、物品などの報酬がもらえる評価制度を指します。
正社員とアルバイトの仕事内容
会社の規模、体制によって違いはありますが、未経験から営業の正社員となった場合、研修期間が設けられている企業が多く見られ、簡単なものから無理せずに業務を覚えていくことができます。商品やサービスに関する知識、営業の基本プロセス、営業活動に必要なトレーニングを座学形式で学び、その後、先輩社員に同行し、実際の営業活動に携わりながらスキルを習得する「OJT(※2)」を通して経験を積みます。一通りの業務理解を深めつつ、徐々に営業として独り立ちし、自身の営業スタイルを築いていくという流れが一般的です。
営業におけるアルバイトでは、主にルートセールスのように販路が決まっている営業が一般的です。正社員に教わりながら営業のノウハウを学んだのち、自身で営業先に行き、アルバイトの営業目標として設定された契約数や売上金額などの達成を目指すことが多いようです。
※2 OJT(On the Job Training)とは、上司や先輩社員が指導役となり、新人社員や若手社員に対して、現場での実務を通じて業務の知識やノウハウを教える教育手法です。
正社員とアルバイトの研修と教育
企業によって用意されている制度は異なりますが、営業の正社員には、教育プログラムが定期的に提供されるような教育環境が整っているケースがよく見受けられます。最新の市場動向や競合企業への理解を深めるセミナーや、コミュニケーションスキル向上を目指すための専門的な研修など、仕事に必要な知識・スキルを長期的に身につけられる機会が得られるでしょう。
それに対し営業のアルバイトは、主に実務経験を通して学び、基礎的な業務スキルの向上に重点が置かれます。正社員のように専門的な研修に参加できる機会は少ないかもしれませんが、先輩社員による指導や教育といった学びの機会は得られるでしょう。
正社員とアルバイトの福利厚生
企業規模によって異なりますが、正社員は自社企業のサービスや施設を優遇価格で利用できる「社員割引制度」などの福利厚生が期待できます。アルバイトでもこのような制度を利用できる場合はありますが、正社員と同等の待遇は受けにくいことがあります。
4.営業の正社員になるメリット・デメリット
営業で正社員になるメリットは何でしょうか。その一方で、考えられるデメリットも合わせて紹介します。
営業の正社員のメリット
営業の正社員は、一般的に基本給が設定されているため、毎月の収入が安定しやすいメリットが挙げられます。そのうえ、ノルマを達成することで支給される「インセンティブ」や、成果を上げたぶんだけ給与に反映される「歩合制(※3)」を設ける企業が主流です。そのため、頑張れば頑張るほど、収入を増やせるという点が大きなメリットと言えます。また、営業の正社員は社外の人脈を増やす機会も多く、仕事に対する視野が広がったり、信頼でつながるお客さまが増えるたびに、やりがいを感じたりすることもできるでしょう。
営業で培った経験やスキルは、その他の仕事で活かせる可能性が十分にあります。
※3 歩合制(ぶあいせい)とは、仕事の成果や売上に応じてお金が支給される制度です。
営業の正社員のデメリット
営業の正社員の多くはノルマや目標が定められているケースが多く、プレッシャーを受けることもあるかもしれません。また、初対面の人と話す機会が多いため、コミュニケーションへの不安を感じる人や、常に数字を気にしなければならないことに対して、ストレスを抱える人もいるかもしれません。ただし、明確な目標があり、成果を出すことで評価や給与アップにつながるため、達成感を得やすいとも言えます。
5.営業の正社員についてよくある質問
営業の正社員を目指すにあたって、さまざまな疑問も出てくるでしょう。営業の正社員として採用を希望する方から寄せられた「よくある質問」にキャリアコンサルタントがお答えします。
Q1. 営業の正社員はノルマが厳しい印象がありますが、実際はどうなのでしょうか?
営業は数字を求められることがほとんどのため、そのプレッシャーを感じることも少なからずあると思います。また業務を進める中では、知識やスキルの不足を感じることもあるでしょう。しかし、ノルマ達成が難しいと思われる場合でも、基本的には多くの会社で成果を出すことに対するサポート体制や、同僚や先輩社員による適切なフォローがあります。それらの機会を有効活用していきましょう。
それでも仕事上の悩みや不安が残る時は、周囲の人に頼ってみるのも良いでしょう。特に営業職は周囲の人との協力関係が強くなるほど、営業成績も伸びる傾向にあります。ノルマの達成は大変な一面もありますが、自分の成長や給与アップの機会が広がるなど、前向きに考えると良いでしょう。
Q2. コミュニケーションが苦手でも営業の正社員になれますか?
コミュニケーションが苦手でも、正社員の入社時に座学や先輩社員が業務サポートに付く「OJT」で基礎知識やスキルを学ぶことができます。コミュニケーションやプレゼンテーションのスキル、電話応対、アポイントメントの取り方など、営業に関わる一つひとつの工程にある程度決まったやり方やコツがあります。コミュニケーションが苦手でも、コツを押さえられれば、営業の仕事に従事することは可能です。
また、「コミュニケーション」と一口に言っても、そのスタイルは人それぞれです。話すことが苦手でも、傾聴力や提案内容などに自分の強みを見出すこともできます。他者と比較して落ち込むのではなく、自分の強みを理解して、営業活動に役立てようとする気持ちが大切です。
Q3. 成果を出し続けた経験がないのですが、それでも営業の正社員になれますか?
新人の営業マンが成果を上げるためには、まずは小さな成功体験の積み重ねが大切です。営業では、一日に何回も断られることも珍しくありませんが、その中で一つでも成功を感じられる瞬間があるはずです。例えば、難しい顧客からの質問に対し回答できた時や、お客さまが提案内容に興味を示してくれた時など、日々の業務の中で小さな成功を見つけ出し、それを次の一歩につなげてみてください。こうした小さな成功からステップアップして、いずれは大きな目標を達成できるはずです。
6.キャリアコンサルタントからのアドバイス
「お客さまを喜ばせたい」「得意なコミュニケーション力で人との信頼関係を築きたい」「チームで達成感を味わいたい」そんな気持ちがある人は、営業に向いていると思います。営業は日々挑戦と成長の連続であり、その毎日を楽しもうとする気持ちが大切です。成果が出せるかどうかは誰にもわかりませんが、起こるかどうかもわからない未来の不安にフォーカスするのではなく、今この瞬間を楽しみながら、自分にできることを積み重ねて前進していけば、道は開けていくでしょう。
そして、お客さまから「あなたが担当でよかった」という言葉をもらえた時の感動は忘れられない瞬間になるはずです。アルバイトや未経験から営業の正社員になることに不安を持つ人もいるかもしれませんが、自らの可能性を信じ、積極的に挑戦してみてください。応援しています。
監修者
一般社団法人キャリアラボ
https://kokoswitch.com/
株式会社みらぴか
キャリアコンサルタント
工藤 久志(くどう ひさし)氏
https://mirapika.jp