この記事の要約
- エステ・理美容業界は美容が好き、誰かの役に立ちたいと思う方に向いている
- 美容師や理容師、ネイリストなど、職種によって求められるスキルや資格が異なる
- 正社員は長時間勤務になりやすいが、安定した給与と技術向上が期待できる
人の美容や健康に関わり、その人の魅力を引き出すエステ・理美容。。働きながら美容に関する知識や技術を学べて、美容への興味を更に追求することもできます。この記事では、「エステ・理美容の仕事内容って?」「どんな人が向いているの?」など、エステ・理美容の正社員の仕事についての基本情報を解説します。エステ・理美容の正社員になるか悩んでいる人はぜひチェックしてみてくださいね。
1.エステ・理美容の正社員に向いている人の特徴
エステ・理美容の特性と、自分の性格や得意なことが合っていれば、仕事に前向きに取り組みやすくなります。では、そんなエステ・理美容にはどのような人が向いているのでしょうか。
『美容』が好き
メイクやヘアアレンジ、ボディケアなど、美容が好きな人はエステ・理美容の仕事に向いていると言えます。好きなことを仕事にすれば熱意を持って取り組むことができ、スキルアップのための努力も続けやすいでしょう。美容のトレンドは毎年のように変化するため、お客さまからアドバイスを求められるケースもしばしば。中でも美容師は、ヘアカットやカラーリング以外にも、メイクやスタイリングを含めたお客さまへのトータルコーディネートの提案機会が多い仕事です。美容やファッションの知識が豊富な美容師はお客さまからの信頼を得やすく、リピーターの獲得にもつながります。
誰かの役に立ちたい
一見、華やかに見える美容の仕事ですが、実は地道な努力が求められます。トレンドを取り入れた施術を行うためには、常に最新の情報をキャッチする必要があり、新しい技術の習得も欠かせません。「お客さまの役に立ちたい」と、スキルアップのために自主的に努力できる人は、エステ・理美容の仕事に向いていると言えるでしょう。
誰かが輝くのを見たい
エステサロンや美容室に来るお客さまの中には、自分の容姿にコンプレックスや悩みを抱いている人もいます。そんな悩みに寄り添い、施術を通してお客さまが輝くことを一緒に喜べる人は、エステ・理美容の仕事に向いています。エステティシャンや美容師は接客業の一種であり、お客さまに心を開いてもらえるような気配りや、希望を聞き出せるような傾聴力も活かせます。
チームで協力するのが好き
エステ・理美容業界では、部下や社内メンバーなど周囲の協力が業務に不可欠なため、チームで協力することが好きな人には適性があります。また、現状の課題や対策を周囲にポジティブに伝え、チームのモチベーションを向上させるようなコミュニケーションができる人は、重宝されるでしょう。こうした仕事ぶりが結果的に、大きな売上の達成にもつながります。
2.エステ・理美容の職種と仕事内容
ここでは、エステや理美容についての職種と仕事内容について説明します。職種によって求められるスキルや資格が異なるため、正社員採用に向けて確認しておきましょう。
理容師・美容師の仕事内容
理容師と美容師はいずれもお客さまの髪を扱う仕事であり、ヒアリングした内容をもとにカット、カラー、パーマなどの施術を行います。両者の大きな違いは、理容師のみシェービング(顔そり)ができることです。最近では、産毛のシェービングを求めて女性が理容室を訪れることもあり、女性理容師の需要も高まっています。
理容師や美容師になるには、それぞれ国家資格である「理容師免許」「美容師免許」が必要です。取得後は、就職先の店舗でアシスタントとしてキャリアをスタートします。接客や清掃、シャンプーなど店舗業務全般を学びながらカットやカラーの練習を行い、テストに合格すればスタイリストに昇格。自身の顧客を持てるようになります。店舗の方針や、本人の意向、お客さまの要望次第では、ヘアメイクやまつ毛エクステ、ネイルなど、髪以外の施術を行うこともあり、トータルコーディネートで美しさを追求できるのも、この仕事のやりがいの一つです。
ネイリストの仕事内容
美容の中でも、爪に関する施術の専門家を「ネイリスト」と呼びます。お客さまの要望を聞きとり、その内容をもとに爪の手入れをしたり、爪にデザインや装飾を施したりして、爪をより美しく見せるサポートをするのが仕事です。主な業務としては、爪の長さや形を整えて自爪を健康的に保つ「ネイルケア」、爪にマニキュアやジェルネイルを塗り、カラーリングしながら補強する「ネイルカラー」、カラーリングした爪にストーンなどのパーツで装飾する「ネイルアート」の3つです。
ネイリストの活動に資格は必須ではありませんが、ネイルサロンに勤める場合は「ネイリスト検定」(JNEC)「ジェルネイル技能検定」(JNA)の2つを求められることが多いようです。
メイクアップアーティストの仕事
メイクアップアーティストは、対象者のなりたいイメージに合わせて、メイクアップやヘアメイクを行うのが主な仕事です。その対象者が俳優やタレントならば芸能界、一般の人ならばブライダル業界や化粧品業界というように活躍の場はさまざまです。
メイクアップアーティストに必要な資格は、国家資格の美容師免許です。そのほか、「日本メイクアップ技術検定試験」(JMA)「国際メイクアップアーティスト認定」(IBF)などの民間の認定資格も取得すると活躍の幅は広がります。ただし、デパートなどの化粧品売り場でお客さまに自社商品を使ってメイクを施す「美容部員」は、美容師免許は必須ではありません。その代わり、商品の販促につなげるための接客スキルや商品知識などが求められるでしょう。
ボディケアセラピスト・エステティシャンの仕事内容
フェイシャルからボディまで、お客さまの望む「美しさ」を提供するボディケアセラピストやエステティシャン。2つの違いは、主なケアの対象が身体の内面なのか、外見なのかによります。
・ボディケアセラピスト
神経の仕組みや骨格の構造などの専門知識をもとに、身体の歪みをほぐし緩和する施術を行うのがボディケアセラピストです。アロマオイルを用いたボディマッサージや足つぼマッサージなどでお客さまの心や身体の症状を癒し、リラクゼーション効果をもたらします。
・エステティシャン
「肌をキレイに見せたい」「ダイエットをしたい」など見た目を改善するための施術を行うのがエステティシャン。美白や保湿のためのフェイシャルケア、痩身のためのマッサージや美容機器を用いた施術、ムダ毛のケアをする脱毛などさまざまなメニューをこなします。
いずれもお客さま一人ひとりの体調やニーズに合った施術をするために、カウンセリングで要望を把握するのも大切な仕事です。お客さまの中には、自分の身体にコンプレックスを抱える人も多く、ボディセラピストやエステティシャンは、施術を通してそれらの悩みを改善していきます。
国家資格はないため比較的目指しやすい職業ですが、勤め先によっては民間資格の取得を求められることもあり、「整体ボディケアセラピスト」「認定エステティシャン」など多種多様な資格があります。

3.エステ・理美容の正社員とアルバイトの違い
正社員とアルバイトでは仕事内容や、給与体系、勤務形態などに違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
正社員とアルバイトの勤務形態
正社員の場合はフルタイム労働制(週5日・1日8時間)が一般的ですが、繁忙期の土日・祝日は休みが取りづらく、平日休みの可能性が高いです。また、技術を磨くための練習が必要であり、一人前になるまでは営業時間以外も店舗に残ることが多いようです。
アルバイトの場合はシフト制が一般的です。会社や店舗によっては「17:00〜20:00までのピークタイムだけ」などスポット勤務を選ぶことも可能です。
正社員とアルバイトの給与体系
理容師や美容師は、一般的に正社員でも自身の職位によって給与体系が異なります。アシスタント時代は固定給であり、スタイリストに昇格すると、売上に応じた歩合給が加えられることが多いようです。トップスタイリストなど更に上の役職に昇級すると、指名料などが加算されることもあります。
ボディセラピストやエステティシャンの正社員は固定給が基本ですが、会社の規模や業績によって規定が異なります。アルバイトとして美容室やエステサロンに勤める場合は、時給制で賞与や退職金は発生しないことがほとんどです。
正社員とアルバイトの仕事内容
エステ・理美容のアルバイトの仕事は、受付での応対や正社員のアシスタントなど、サポート業務全般です。一方、正社員の仕事は、カウンセリングや施術を含めた顧客対応や、売上管理、店舗管理、教育・研修、各種マネジメント業務など多岐にわたります。
アルバイトの場合はシフト制が一般的です。会社や店舗によっては「17:00〜20:00までのピークタイムだけ」などスポット勤務を選ぶことも可能です。 とはいえ、未経験で正社員として働く場合、まずは店舗の清掃や環境整備などから始めて、少しずつ業務を覚えていきます。お客さまがリラックスできる空間を作ることも大切な業務の一つです。次に、個人の技術レベルに応じて、実践を積むためお客さまの施術を担当します。初めは先輩と一緒に2名体制で対応し、慣れてきたら単独で施術を行うことが一般的です。
4.エステ・理美容の正社員になるメリット・デメリット
エステ・理美容の仕事で正社員になるうえでのメリット・デメリットについて確認しておくことも大切です。それぞれ詳しく解説していきます。
エステ・理美容の正社員のメリット
エステ・理美容の正社員になることで、安定した給与を得られ、生活の安定性や将来の見通しがつきやすくなります。また、お客さまの施術を一貫して担当でき、自身の技術を高めることができるでしょう。美容業界は競合が多く、競争も激しいですが、技術レベルの高さや自身の努力が指名や売上、口コミといった目に見える形で評価される点はメリットの一つと言えるでしょう。知名度が上がれば、店舗での仕事だけでなく、ショーやイベントに参加したり、芸能人やモデルの施術を担当したりする機会も得られるかもしれません。正社員での経験を活かして独立し、自分の店舗を出したり、フリーランスとして働いたりする道もあります。
また、日々多くの人と出会えることもこの仕事ならではの魅力。お客さまとのコミュニケーションを通じて視野が広がったり、「一生の付き合い」ができるお客さまに出会ったりすることもあります。
エステ・理美容の正社員のデメリット
アシスタント期間中は、営業終了後や休日を利用して練習を行うのが通例であり、長時間勤務になりやすい点はデメリットの一つです。また、お客さまが途切れないような忙しい日は休憩時間がほとんど取れず、予約と予約の間に簡単に食事を済ませることも。
薬剤や化粧品を頻繁に扱うため、手荒れが起きやすい点もデメリットです。保護フィルムを使用したり、小まめにハンドクリームを塗ったりして、手荒れと上手に付き合っていく必要があります。
5.エステ・理美容の正社員についてよくある質問
美容業界で働くには専門的な知識や技術が必要であり、未経験やアルバイトから正社員になれるかどうか、不安を感じる方もいるでしょう。最後に、正社員を目指す方からの「よくある質問」にキャリアコンサルタントがお答えします。
Q1. 正社員として働く際、売上目標を達成できるか心配です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、売上目標をきちんと認識し、数字への意識を持つことが結果につながります。お客さまの要望と真摯に向き合い、喜びや満足感を感じてもらうことで信頼関係が結ばれ、それに伴い売上も伸びていくでしょう。
売上に対して不安を感じる時こそ、コミュニケーション力や営業、施術技術に磨きをかけられるチャンスとも言えます。カウンセリングでの話の聞き方、お客さまに適した施術を提案する際の効果的な伝え方などのレクチャーを受け、本番を想定して練習する「ロールプレイング」を重ねることで身に付きやすくなるでしょう。自分の理想とする働き方をしている先輩や店長などをロールモデルにし、その人のやり方を真似ることも技術習得のコツです。同時にイメージトレーニングで、うまくできている自分の姿を想像すると、行動が伴いやすくなります。
売上目標の達成は、評価軸の一つであり、職場のスタッフと比較され、不安を抱きやすい要素でもありますが、そこに目を向けるだけでなく、自分自身の成長や目的、目標と向き合う働き方ができるといいですね。美容の楽しみを見出したり、お客さまがより満足感を得られるような工夫を追求したりと、一つひとつ丁寧に向き合うことで、自ずと結果もついてくるはずです。
Q2. エステ・理美容の仕事を長期的に続けるために、心掛けるべきことはなんですか?
エステ・理美容の仕事を長期的に続けたい場合、日々の健康管理が求められます。シフト制の不規則な生活や、夜遅くまでの勤務など、若い時は可能なことも、年齢を重ねたり、家族形態の変化によって難しく感じられたりすることがあります。会社の福利厚生やさまざまな支援制度を活用するほか、店舗のスタッフとコミュニケーションを取り、お互いに無理なく協力し合える働き方を検討しましょう。
また、エステ・理美容の正社員として働くことで、将来のキャリアプランを立てやすくなります。他の店舗に移る、独立して自分の店舗を構える、フリーランスになるなど、どのようなキャリアでも一人前のスタッフとしてお客さまにサービスを提供できる技術力やコミュニケーション力は求められます。ライフステージの変化に応じたキャリアの選択をしやすくするために、正社員として働いた実績が強みになるでしょう。
Q3. エステティシャンとして働きたいのですが、資格は取った方がいいですか?
正社員になるには、資格を取得したほうが有利です。日本エステティック協会認定のエステティシャンであることは、お客さまの信頼を得る上でも役に立つでしょう。例えば、「AJESTHE認定エステティシャン」は、エステの基礎知識とフェイシャルケア・ボディケアの基礎を有しているエステティシャンに与えられる資格です。エステティシャンセンター試験に合格し、協会認定校でコースを修了するか、実務経験を1年以上積むことで取得できます。
6.キャリアコンサルタントからのアドバイス
正社員になるか迷っているならぜひ、一歩踏み出してみましょう。「美容が好き」「誰かの役に立ちたい」という方は、正社員として仕事に深く関わることで、自身の感性や外見を磨く機会が増えるはずです。エステ・理美容は、お客さまの「美しくなりたい」「癒されたい」という願いを叶えるサポートを行う職業ですが、それがお客さまの喜びや感動として返ってくることで、働く側の幸せにつながり、自身の大切な財産にもなるでしょう。
ただし、業務を進める中で壁に当たった際は、職場の方でも友人でも相談できる相手に気持ちを打ち明けて、メンタルを整え気力を養うことも大事にしてください。経験が浅いうちは、自分一人で問題に対処することは難しいもの。先輩方と一緒に「どうしたらできるようになるか」を建設的に考えていくことで、解決への糸口が見つかるかもしれません。エステ・理美容の仕事を頑張りながら、素敵な経験を積んでください。
監修者
Cerisier(セリージェ) 代表
キャリアコンサルタント
大橋 祐子(おおはし ゆうこ)氏