初バイトとして選ばれることも多い飲食バイト。しかし、いざ自分が接客する側になると不安を感じてしまうかもしれません。本記事では、飲食店における基本的な接客マナーを解説します。飲食バイトに挑戦しようとしている人や現在飲食店でアルバイトをしている人は参考にしてみてください。
1. 飲食店バイトの接客の仕事内容
飲食店バイトの主な接客業務は以下の通りです。
- 席を案内する
- 料理の注文を受ける
- 料理を提供する
- 会計をする
お客さまが来店してから飲食を終えて帰るまで対応するのが、飲食店バイトの接客です。飲食店バイトでは常にお客さまを相手に仕事をするので、相手を不快にさせない丁寧な接客が求められます。
2. 飲食店バイトの接客マナー
まずは飲食店での接客における基本的なマナーを見ていきましょう。飲食店は、が成立することで繁盛につながると言われています。このなかで特にアルバイトに関係しているのが「接客」。特に注意すべき3つのポイントを紹介します。
(1)身だしなみ
飲食店は食べ物を提供する場所であるため、衛生管理が徹底して行われます。万が一料理に異物が混入したり、料理を食べた人が食中毒を起こしたりすると店が営業停止になる可能性もあるため、スタッフにも清潔感のある格好が求められます。
なかでも注意が必要なのは髪型。髪の毛がボサボサだと不衛生な印象を与えてしまうため、耳や目に掛からない程度にすっきり整えるのがベストです。長い場合はゴムを使って崩れないようにまとめましょう。髪留めピンは、作業中に落ちて食材や料理に混入する可能性があるため避けたほうが無難です。匂いの強い整髪料を付けるのも控えてください。そのほか、ピアスや指輪、ネイルも異物混入などのリスクがあるので可能な限りやめておきましょう。
ただし、店舗によっては髪色・髪型自由/ピアス・ネイルOKとしている場合もあるため、事前に確認してください。
(2)笑顔
飲食店に限らず、笑顔は接客業の基本的なスキルです。忙しいと気持ちに余裕がなくなり、顔に疲れが出てしてしまいそうになるかもしれませんが、お客さまには笑顔で接するように気を付けましょう。口角を上げることを意識するだけでも表情は変わります。笑顔を作るのが苦手な人は、普段から鏡の前で自分の表情をチェックしてみるのもおすすめです。
(3)言葉遣い
お客さまには丁寧な話し方を心掛けましょう。家族や友人に接するような口調で接客してしまうと、相手が不愉快な気分になってしまうかもしれません。また、自分では敬語を話しているつもりでも自己流の言い回しや間違った敬語は失礼に当たる場合があるため、正しい接客用語を知っておきましょう。
3. 飲食店バイトで使われる「接客8大用語」
飲食店の接客で特によく使う基本的なフレーズ「接客8大用語」を紹介します。これらを使いこなせるようになると、スムーズに接客できるでしょう。
(1)いらっしゃいませ
店の第一印象を決める重要なフレーズなので、明るく笑顔で伝えるのがポイントです。働く店舗の雰囲気にもよりますが、「いらっしゃいませ~~」と語尾を伸ばすとだらしない印象になりやすいため、基本的には語尾を切ってハキハキと発声しましょう。
(2)かしこまりました
お客さまからの要望に対して、理解・承諾した際に使います。「分かりました」「了解しました」よりも相手に敬意を示すことができるため、接客の際には「かしこまりました」を使うのがベストです。
(3)申し訳ございません
接客時に謝罪をする際、「すみません」や「ごめんなさい」は丁寧さが不十分なのでふさわしくありません。トラブルがあった際に「すみません」と言うとかえってお客さまを怒らせてしまう可能性もあるので、必ず「申し訳ございません」と謝罪するようにしましょう。
(4)ありがとうございます
「ご来店(くださり)ありがとうございます」「ご注文ありがとうございます」など、あらゆる接客シーンで使います。また、お客さまが店を出る時のあいさつとしても使われるため、明るい声色で感謝の気持ちを込めて話すよう心掛けましょう。
(5)恐れ入ります
「恐れ入ります」には2種類の使い方があります。1つ目は、謙遜と感謝の気持ちを伝えるケース。お客さまに料理の味や接客を褒められた時などの返事として使います。
2つ目は、クッション言葉として使うケースです。お客さまに頼み事をしたり何か尋ねたりする際に、相手の気分を害さないように「恐れ入りますが〜〜をしていただけますか?」と文頭に用いて話してみてください。
(6)少々お待ちください
料理のオーダーを聞いてテーブルを離れる時や、お客さまから質問された内容を上司に確認しに行く時などに使います。もし、お客さまに待ってもらえるかどうか分からない時には「少々お待ちいただけますでしょうか?」と確認する言い方に変えましょう。ただし、お客さまに呼ばれた際の返事は、「少々お待ちください」よりも「すぐにお伺いします」のほうが好印象です。
(7)お待たせいたしました
お客さまの元をいったん離れた後、その場に戻った時に最初に伝える言葉です。戻ってすぐに本題に入ると唐突で失礼だと思われることもあるので、必ず「お待たせいたしました」と一言添えるようにしましょう。オーダーを取った後、お客さまのテーブルに料理を提供する際にもこの言葉を使います。
(8)失礼いたします
お客さまに声をかける際に使うクッション言葉です。例えば、料理を提供するために個室に入る時や、料理をテーブルに並べる時、通路でお客さまの後ろを通る時など、一声掛けるシーンで使います。
4. 【ケース別】飲食店バイトの接客マニュアル
ここでは、飲食店での主な業務ごとに、必要なマナーや気を付けるポイントを紹介します。
席へ案内する
お客さまが来店したら、明るい笑顔で「いらっしゃいませ」とあいさつをして、空いているテーブルへ案内します。そして、お客さまが席に着いたら人数分のお水やお茶を出します。
もしも店内が満席の場合は、入店までの待ち時間を伝えたり、入り口にある順番待ち用紙に名前や連絡先を記入するよう促したりするなど、臨機応変な対応が求められることもあるでしょう。その際、お客さまには丁寧に説明することが大切です。
注文を受ける
お客さまのオーダーが決まったら、注文するメニューを聞いてキッチンに伝えます。店舗のマニュアルにもよりますが、聞き取りのミスを防ぐために「ご注文内容は〇〇と〇〇でよろしいでしょうか?」と注文内容を復唱して確認すると良いでしょう。
料理の提供(配膳)
料理ができたら、お客さまが待つテーブルへと運びます。テーブルに並べる前に「失礼します」と一声かけて、「お待たせしました、〇〇です」と料理名を伝えましょう。
ドリンクのサーブ
飲食店ではドリンクは接客スタッフが作るというケースが少なくありません。コーヒーや紅茶など、食後に飲むことの多いドリンクの場合は、注文を聞く際にどのタイミングで提供するかを確認し、提供の時間に合わせて作るようにしましょう。
飲食後の片付け
お客さまの食事がひと段落してお皿が空いた様子が確認できたら、「お下げしてもよろしいでしょうか」と一声掛けて空いたお皿を回収します。コース料理などの場合は、次の料理やデザート、食後のドリンクなどを運びましょう。お客さまが完全に食事を終えて席を立ったら、まずお客さまの忘れ物がないかを確認し、テーブルに残ったグラスや皿を片付け、次のお客さまを迎えるために清掃やメニュー表のセットを行います。
支払い
お客さまに伝票を確認してもらい、レジで支払いをしてもらいましょう。お金を受け取る際、丁度の金額を渡されたら「○○円丁度いただきます」、お釣りがある場合は「○○円(を)お預かりします」と言うと良いでしょう。お釣りがない場合は返すお金がないため、「預かる」という表現ではなく「いただく」が適切です。お釣りがある場合は「預かる」で問題ありませんが、「〜からお預かりします」という使い方は間違いなので気を付けましょう。
5. 飲食店バイトの接客に関するよくある質問
最後に、飲食店バイトの接客に関するよくある質問に回答します。
Q.「ごゆっくり」はどのタイミングで使う?
「ごゆっくり」は料理を提供したタイミングで伝えるのが良いでしょう。「ごゆっくり」には「食事をゆっくりと楽しんでください」「楽しい時間をゆっくりとお過ごしください」といった意味が込められています。料理を提供するたびに毎回使う言葉ではないので、注文された料理をすべて提供したタイミングで伝えるのがベストです。
Q.「よろしかったでしょうか」は間違い?
復唱の最後に「よろしかったでしょうか」「よろしかったですか」という言葉を使う人もいますが、確認作業は現在の出来事であるため、「よろしかった」という過去形にする必要はありません。
Q.「〇〇になります」は間違い?
「〇〇になります」という伝え方で示すのは間違いです。「なる」という動詞は、その物が別の物へと変化することを表す言葉で、完成した料理に使うものではありません。同様に、「お手洗いはこちらになります」「お釣りは〇円になります」なども間違いで、すべて「です」または「ございます」を使うようにしましょう。
Q.飲食店バイトの接客で使える英語は?
飲食店バイトの接客で使える英語を紹介します。
- How many?(何名さまですか?)
- Do you smoke?(おタバコは吸われますか?)
- This way please.(こちらへどうぞ)
近年は海外からのお客さまも増えているので、簡単な英語フレーズを覚えておくと慌てずに対応できるでしょう。
6. 飲食店バイトの接客マナーをマスターしよう
私たちの身近に数多くある飲食店ですが、働く側の視点からあらためて確認すると、意外に知らなかった接客のマナーもあったのではないでしょうか。特に敬語の使い方は、慣れるまで混乱することもあるかもしれないので、まずは今回紹介した「接客8大用語」からマスターするのがおすすめです。これからアルバイトにチャレンジしようと考えている人は、ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。
<監修者プロフィール>
NPO法人 繁盛店への道
アカデミーチーム
https://hanjyoten.org/