少子高齢化により将来にわたって人材の不足が見込まれるなか、アクティブシニア世代といわれる、体力や意欲あふれる65歳以上の方が活躍する職場が増えています。とりわけ清掃業は特別な資格が必要なく、仕事も単純な作業が多いため未経験でも始めやすいと人気です。
そこで今回は、清掃アルバイトの仕事内容や働くやりがいなどを紹介します。
1. 清掃アルバイトの仕事内容
ひとくちに清掃アルバイトといっても、活躍する場所はマンションや商業施設、オフィスビル、ホテル、病院、交通機関とさまざまです。ここでは代表的な清掃アルバイトに絞って、その仕事内容を紹介します。
ビル清掃員
オフィスビルの共有スペースを掃除する仕事で、大きく日常清掃と定期清掃の2つに分かれます。前者は、毎日もしくは週に数回、人が行き交うエントランスや通路、階段、トイレなどを清潔に保てるよう、掃除機かけや拭き掃除のほか、トイレ掃除、窓拭き、ゴミの回収・分別などを行います。昨今は新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、エレベーターの押しボタンや扉の取っ手、手すりなど多くの人が触れる部分の除菌作業をすることもあります。 一方の定期清掃は月に1回、2~3カ月に1回といったペースで、日常清掃では落としきれない頑固な汚れを特殊な機械や薬剤を使って除去します。照明器具やブラインドの吹き上げやフロアのワックスがけ、トイレの分解洗浄などがあります。
客室清掃員
宿泊者が過ごしやすいよう、客室を徹底的にきれいにするのが客室清掃員の役割です。お客さまのチェックアウト後、室内のゴミを回収し、テーブルの吹き上げ、トイレやお風呂などの水回りも清掃します。また寝具の交換も欠かせません。使用済みのシーツやタオルなどのリネン類を回収して新しいシーツをセットしてベッドメイクします。その他、シャンプーや歯ブラシといったアメニティーの補充も行います。
列車清掃員
新幹線や急行、在来線といった鉄道車両を衛生的に利用してもらえるよう清掃をする仕事です。乗客が降車して車両基地に戻ってきたら、列車の床掃除や窓拭きのほか、利用者が触れる荷物棚、つり革、座席など、汚れやすい箇所を中心に清掃します。毎日きちんと掃除をしても、落としきれない汚れは当然出てきます。そうした汚れを落として美観を保つため、月に1回程度の頻度で、特殊な機械や道具を使用して車両の内部と外部を大掃除します。
紹介した仕事はほんの一例で、その種類は多岐にわたります。ですが、いずれも年齢や経験を問わず募集されていることがほとんどです。日常の家事で得た掃除のスキルを活かして、主婦(夫)やミドル・シニア世代の人が多く活躍しています。
2. 清掃アルバイトの3つの魅力
清掃のスキルが身に付く
私生活で何十年と掃除をしてきたミドル・シニア世代であっても、掃除員の仕事に就けば今まで知り得なかったコツやスキルを身に付けることができます。「油系の汚れにはこの洗剤が効く」「傷が付きやすい床材にはこの道具が良い」というようなスキルは、日ごろの掃除に生かすことができるでしょう。
仕事の結果が目に見える
清掃は取り組んだ成果が一目瞭然。こびりついていた汚れ、隅に溜まったホコリなど、それらが残っていた場所を美しく蘇らせるたびに、大きな満足感や達成感を得ることができます。仕事をするたびに達成感を得られることは掃除アルバイトならではの魅力でしょう。
人に感謝される
清掃アルバイトは黙々と作業をこなして空間をきれいにすることが仕事です。そのため決して人と接する機会は多くありません。ですが、その懸命に働く姿を見た施設の利用者や仕事の依頼主が感謝の言葉をかけてくれることがあります。「いつもきれいにしてくれてありがとう」という一言が、仕事へのやりがいにつながるはずです。
3. キャリア・年収アップを目指せるおすすめの資格
清掃アルバイトは、清掃の技術力を証明できる資格を取得することで、キャリア・年収アップを図ることができます。では具体的にどのような資格がスキル・年収アップに有利になるのか、その一例を紹介します。
ビルクリーニング技能士
ビルクリーニングのスキルを証明することができる国家資格。この資格を取得することで、オフィスビルやショッピングセンター、病院、介護施設、学校などで清掃の現場監督として働くことができます。ビルクリーニング技能士は1級から3級、基礎級の4等級あり、受検するためには2級の場合で2年以上、1級の場合は5年以上の実務経験(※)を積んでいる必要があります。そのため、この資格を取得しているだけでも、実務経験があることをアピールできます。
※パート・アルバイトを含めて、おおむね1週間に24時間以上勤務するものが該当
建築物環境衛生管理技術者
清掃の仕事からステップアップして、大規模な建物のビルメンテナンスを統括することができる国家資格です。「ビル管」「ビル管理技術者」とも呼ばれます。建物を維持・管理していくためには、日々の掃除のほかに、空調や給水、排水といった設備を点検したり検査したりする必要があります。建築物環境衛生管理技術者として選定されたら、設備に異常がないかをチェックして、メンテナンスが必要であれば外部会社を手配するなどの仕事ができるようになります。
映画館や劇場、デパート、図書館など、延べ面積3000平方メートル以上の建物では「建築物環境衛生管理技術者」を選定することが義務付けられています。将来的にも一定の需要が見込めるため、取得して損はないでしょう。
清掃作業監督者
建物の清掃作業を監督する人に与えられる国家資格です。対象はビルクリーニング技能士1級の資格を持つ人か、建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている人で、受講することで新規事業者として独立開業ができるようになります。
4. 清掃アルバイトに関する本記事のまとめ
清掃アルバイトは、日常的に行っている家事のスキルを仕事に応用できるという魅力があります。年齢制限をせずに募集をかけているところもあるので、セカンドライフを充実させたいというシニア世代の方はぜひ挑戦してみてくださいね。