一見すると資格が必要そうでも、実は資格なしで働けるバイトはたくさんあります。資格なしバイトは、実務経験を積みながら専門知識やスキルを身に付けたい人や、ゆくゆくは資格を取得してキャリアアップに繋げたい人にもおすすめです。 この記事では、資格なしで働ける13の職種を業界別に紹介します。また、資格なしバイトで働く際の注意点や、仕事探しのコツについても詳しく解説するので、資格なしで働けるバイトを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
1.資格なしでも働けるバイトとは?
医療や保育、理美容、エンジニアなど、資格が必要に思える職種の中にも、資格なしで働けるバイトは多くあります。一部、資格の取得が義務付けられている医師や看護師、保育士などは資格なしで働くことはできませんが、バイトであれば有資格者のサポート業務を任せてもらえます。ただし、資格なしバイトであっても、資格を持っているとより幅広い業務に携われることも。取得したい資格があれば、積極的に挑戦してみるのも良いでしょう。
2.資格なしでも働けるバイト13選!
では、資格なしで働けるバイトにはどのような職種があるのでしょうか? 以下、マイナビバイトに掲載中の資格なしバイト13職種を、業界ごとに分けて紹介します。
医療・介護業界
医療・介護業界において、資格なしで働けるバイトのうち主に考えられる4つの職種を紹介します。
1.医療事務
医療事務は、病院やクリニック、助産所などの医療機関で、受付や会計業務をメインに行います。主な仕事内容としては、来院した患者への応対、患者と医師/看護師の橋渡しを行う「クラーク業務」などがあります。そのほか、医療機関が健康保健組合に患者の保険治療にかかった費用の負担分を請求するために発行する「診療報酬明細書(レセプト)」の作成など専門的な業務を任されることも。
なお、医療事務にはレセプトの作成スキルを習得できる「医療事務管理士」「医療事務実務士」といった民間資格があり就職に有利なこともありますが、必ずしもそのような資格を持っておく必要はありません。
2.歯科助手
歯科助手は、一般的に歯科医院での予約管理や電話応対、会計、フロアの清掃、レセプトの作成などを任されます。加えて、歯科医師や歯科衛生士のサポート役として診療介助や診療補助などの業務を任される場合もあります。
仕事内容には、治療器具の洗浄や滅菌処理、バキュームによる唾液吸引、医師に器具を手渡す、詰め物に使うセメントを練る作業などが含まれますが、患者の口腔内に手を入れる「医療行為」は法律で禁じられています。そのほかにも、歯磨き指導などの予防処置や保健指導、レントゲン撮影などは行えません。
3.調剤事務・補助
調剤事務・補助は、調剤薬局での受付や会計、処方箋の入力と管理、レセプトの作成、医薬品の在庫管理など、主に事務作業を行う仕事です。調剤補助であれば、それに加えて薬剤師の指示をもとに薬のピッキング(※)や数量・重量チェック、服用するタイミングが同じ錠剤を一袋にまとめるなどのサポート業務を任されることもあるでしょう。
薬剤師との大きな違いは、軟膏剤や水剤など医薬品の計量・混合はもちろん、医師が発行した処方箋の記載事項に不備や間違いがないか、処方内容が患者にとって適切かどうかをチェックする「処方箋監査」などを行えないことです。
※ピッキングとは、医薬品を棚から必要な数だけ取り出して集めること
4.生活介護・支援
生活介護・支援は、老人ホームやデイサービスなどで食事の準備をしたり、清掃や洗濯を行ったりと、利用者の身の回りのお世話をすることが主な仕事です。介護福祉士など、資格を持つスタッフの指導のもとであれば、入浴や排せつ、車いすへの乗り移り、ベッドからの起き上がり、食事サポートなど、直接身体に触れる介護を行うことも可能です。ただし、2024年4月以降、無資格者が介護の仕事にあたる場合「認知症介護基礎演習」の受講が義務付けられていることを留意しておきましょう。
教育・保育業界
教育・保育業界において、資格なしで働けるバイトのうち3つの職種を紹介します。
5.保育補助
保育補助は、保育園で保育士をサポートする仕事を中心に行います。業務内容は保育園によって異なりますが、通常、園内の掃除やおもちゃの片付け、布団や衣類の洗濯、園児の寝かしつけ、おむつ替え、食事やトイレの見守り・補助、運動会や発表会など行事の準備など幅広く担当します。保育士とは違って、資格の持たない保育補助が担当クラスを受け持つことはありません。未経験者はもちろん、保育士を目指す学生や、子育て経験のある方、元保育士でブランクのある方にも人気のアルバイトです。
6.学童保育補助
学童保育とは、平日の放課後や夏休み・冬休みなどの長期休暇において、保護者が家で子どもを見ることが難しい場合に、家庭に代わって子育て支援を行う場所のことです。学童保育補助は、「放課後児童支援員」の資格を持つスタッフの指導のもとさまざまな業務にあたります。子どもたちと一緒に施設内で遊んだり、本を読んだりするほか、宿題や勉強のサポートを行うこともあるでしょう。
7.図書館スタッフ
図書館で司書として働く場合、「図書館司書」の資格が必要ですが、図書館の運営業務の一部を担う図書館スタッフであれば資格がなくても働くことができます。図書館スタッフは図書館での貸出・返却業務といったカウンター業務をはじめとし、利用者からの問い合わせ対応や書架整理などを担当します。一口に図書館と言っても、自治体が設置する公立図書館や、大学や法人が運営する私立図書館などさまざまな種類があります。
エステ・理美容業界
美容にまつわる施術を行う職種でも意外と資格なしで働けるバイトがあります。エステ・理美容業界において、資格なしで働けるバイトのうち2つの職種を紹介します。
8.ネイリスト・エステティシャン
ネイリストやエステティシャンの主な仕事内容は、お客さまにカウンセリングや施術を行うほか、予約管理、受付、会計、店内清掃なども行います。最初は未経験からのスタートでも、知識や施術方法を身に付けて指名をもらえるようになるまで成長すると、基本給に加えてインセンティブが得られることもあり、自身の努力次第で給与アップを狙うことができるでしょう。
9.美容部員
美容部員はBA(ビューティーアドバイザー)とも呼ばれ、お客さまの肌の悩みや希望をヒアリングしたうえで、実際にメイクアップしたり、スキンケアに関するアドバイスを行ったりする仕事です。百貨店のコスメカウンターや化粧品専門店、ドラッグストアなどでお客さまにぴったりな化粧品を提案し、販売することはもちろん、商品の会計や陳列、検品、在庫管理など、バックヤード業務を担当することもあります。資格が必要ないぶん、コミュニケーションスキルや美容にまつわる知識があると有利かもしれません。
接客・サービス業界
接客・サービス業界は資格なしで働ける職種が多い傾向にありますが、ここでは意外な例としてガソリンスタンドスタッフを紹介します。
10.ガソリンスタンドスタッフ
ガソリンスタンドスタッフは、正社員として働くなら普通自動車免許などを持っていることが望ましいですが、バイトなら資格なしで働ける職場も多いです。有人型のガソリンスタンドの場合は、お客さまの車に給油するほか、車の窓拭きや会計、車の誘導などの業務を行います。ただし、給油する際には危険物の取り扱いを許可された有資格者(乙種第4類危険物取扱者)の立ち会いが必須となります。
その一方でセルフ型のガソリンスタンドの場合は、お客さまが自分で給油を行うためガソリンスタンド内の監視がメイン業務になります。ときには洗車やタイヤ交換などの依頼に対応することもあるでしょう。
オフィスワーク
事務や受付、データ入力など人気が高いオフィスワーク。中でも、意外と知られていない資格なしで働ける2職種を紹介します。
11.コールセンタースタッフ
コールセンタースタッフは、電話でお客さまとやり取りをする仕事です。その電話内容はお客さまからの商品の注文受付や、問い合わせ対応を受けたり、反対にお客さまに営業の電話をかけたりと、バイト先によってさまざま。そのほか、入力作業やデータ管理などの事務作業をすることもあります。ほとんどの職場でマニュアルや研修制度が用意されているので、資格なしでも安心して働くことができます。
12.営業アシスタント
営業アシスタントは、営業担当者のサポートとして主に事務作業を行います。具体的には、スケジュールの管理、社内文書作成、電話やメール対応などがあり、パソコンスキルがあれば生かせます。一般的に営業アシスタントは直接顧客との交渉を行うことはありませんが、職場によっては営業担当者に同行する可能性もあるので事前に確認しておきましょう。
エンジニア・サポート・保守業界
エンジニア・サポート・保守業界からは、資格なしバイトの代表例としてITエンジニアを紹介します。
13.ITエンジニア
ITエンジニアは、Webサイトの設計や開発、ネットワーク・セキュリティのシステム構築などの業務を行うため、資格なしで働けるイメージが湧きにくい職種の一つです。しかし、中にはマニュアル化されたシンプルな作業があり、資格を持っていない未経験者でもアルバイトとして働くことができます。パソコンを使った業務が中心になるため、基本的なパソコン操作ができる人に向いているでしょう。
3.資格なしバイトで働く際の注意点
資格なしバイトで働くことは、実務経験を積むことができるほか、専門的な知識やスキルも身に付けられるなどメリットが多い反面、働く上で注意すべきポイントもいくつか挙げられます。特に以下の2点には気を付けましょう。
専門性が高く、知識が必要な仕事もある
資格なしで働けるバイトの中には、仕事内容の専門性が高く、ある程度の知識やスキルを必要とする職種もあります。そのため、業務に慣れないうちは大変さを感じることもあるかもしれません。基本的には業務時間内に研修や実務を通じて知識やスキルを身に付けられますが、最初のうちは無理のない範囲で復習をするのがおすすめです。主体的に取り組めば、早く業務に慣れることができるうえ、スキルアップや成果にもつながることもあります。
プレッシャーを感じることもある
資格なしバイトとはいえ、やはり仕事の専門性が高くなるほどプロ意識を求められ、それだけ業務の正確性も重要視される傾向にあります。責任が大きいぶん、やりがいを感じられ、ときには人に感謝されることもあります。誰かの役に立っていると実感することで、業務にかかるプレッシャーを仕事の原動力に変えることができるでしょう。
4.資格なしバイトの探し方
では、資格なしバイトで働きたい場合、どのようにして仕事を探せばいいのでしょうか。求人の探し方や探す際の心構えについてそれぞれ解説していきます。
業種・業界を限定しすぎない
資格なしバイトはさまざまな業種・業界で募集されています。しかし、最初から職種や労働条件を限定しすぎると求人が限られてしまいます。あらゆる選択肢を念頭においてバイトを探せばそれだけ採用される確率も高まります。広い視野で求人を幅広くチェックしたうえで、少しずつ選択肢を狭めていくと良いでしょう。
業界研究や応募先のリサーチを徹底する
働きたい業界などの方向性が決まったら、自身が希望する業界や応募先について徹底的にリサーチしましょう。仕事内容や働き方、向いている人の特徴、そして応募先の雰囲気をきちんと理解しておくことで、実際に働く姿をイメージしやすくなります。また、事前にリサーチしておくと、面接時に熱意や成長意欲はもちろん、応募先とのマッチ度もアピールできるので好印象に繋がりやすくなります。
キャリアプランを明確にする
資格なしバイトを探すときには、時給や福利厚生といった条件面だけでなく、将来を見据えてキャリアプランを明確にすることも大切です。「専門的なスキルや知識を身に付けたい」など具体的な目標を設定しつつ、その実現に近づくための実務経験が積めるバイトを探してみましょう。
求人サービスを利用する
求人サイトやアプリ、ハローワークなどの求人サービスには、資格なしバイトが数多く掲載されています。特に未経験の場合は、希望する条件や待遇をはっきりさせたうえで、求人サービスを利用すると仕事探しがスムーズに進められるでしょう。
5.資格なしバイトに関するよくある質問
資格なしバイトに関するよくある質問に回答します。疑問がある人はぜひ参考にしてみてください。
Q.資格なしバイトのメリットは?
資格なしバイトのメリットは、経歴を問わず未経験から始められる求人も多く、誰でも気軽に応募できる点にあります。専門的な職種でも、始めるハードルが低くなるでしょう。職場によっては資格研修制度を設けている職場もあり、将来的に資格を取得すれば幅広い業務を任されたり、安定した収入を得られたりする可能性も高まります。
Q.資格なしバイトで高収入を狙うためにはどうすればいい?
資格なしバイトの中でも、成果に応じてインセンティブが支給されるバイトであれば高収入を狙いやすくなります。給与アップの条件に資格の取得が義務付けられている職場もあり、バイトしながら資格取得を目指すのも一手です。
Q.資格なしバイトは40・50代からでもできる?
コールセンタースタッフ、美容部員、学童保育補助、介護支援など、さまざまな職種で40代〜50代からでも働けます。ただし、年齢を重ねるにつれて「即戦力」として期待される傾向が強くなるのも事実です。これまでの仕事経験で培ったスキルや知識をアピールすれば、40代〜50代であっても採用されやすいでしょう。
Q.将来に資格が必要な仕事に就きたい場合、まずは資格の取得を優先すべき?
将来的に資格が必要な仕事に就きたい場合、資格の取得を優先することだけが選択肢ではありません。目指す職種や資格の難易度にもよりますが、試験勉強に多くの時間を費やしている期間は、十分なお金を稼げない恐れもあります。その点、バイトで実務経験を積みながら資格取得を目指したほうがより効率的でしょう。また、職場によっては「資格支援制度」が設けられていて資格取得のための受講費用を一部負担してもらえるなどの恩恵も得られます。
6.まとめ
経歴に関係なく誰でも応募できる資格なしバイトは、実務経験を積みながら知識やスキルを身に付けられるバイトです。中には専門性の高い職種もありますが、研修制度が整っていて未経験者でも挑戦しやすいケースが多く見受けられます。働きながら資格の勉強をするなど、仕事に対して前向きな姿勢で取り組めばキャリアアップも実現できるでしょう。資格なしバイトに興味を持った人は、この機会にぜひ応募してみてはいかがでしょうか?
監修者
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
谷所 健一郎(やどころ けんいちろう)氏
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